※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 僕は腹黒い。よく知った小次郎なんかはそう断言する。おとなしそうな顔して、とんでもないことするよな、お前。は、ほめ言葉ではない。小次郎の親愛の情はあっても、辛辣な評価だ。 「だって僕苦労してるもん」 思ってもないことを口にして、さらりと受け流す。 「そういうところだよ、お前」 自分でも知っている。僕の生い立ちを知っているみんなはかなり割り引いておまけしてくれているけど、やっぱり僕は腹黒くて、欲深い。
欲しいものは、譲れない。どんな手を使っても。
決心してからは、そう迷わなかった。身体が冷えてしまう前に、布団に潜り込む。 いくら広いベッドでも、動くと素肌が触れ合う。極力近づかないように丸くなったけれど、若林くんはいつものように僕の背に腕を回してきた。
寒い訳がない。心の業火に焼かれて、死んでしまいそうだ。
「起きたか?」 目が覚めたら、すぐ近くに若林くんの顔があった。あんなに緊張していたのに、僕は寝てしまったらしい。この寝心地の良さすぎる寝床ときたら。若林くんの暖かい腕ときたら。その若林くんが動揺した様子もなく、腕を立て身を乗り出して、見つめてくる様子に、こっちの息が止まりそうになる。 「あの・・・」 咄嗟に言葉が出なかった。見上げた若林くんは何故か微笑んでいて、しかも妙に力強い。楽しくて仕方のない、そんな顔に見える。 「おはよう」 思わぬ笑顔に気圧され、ちょっと怯んだ僕に、若林くんは顔を覗き込んできた。 「お、おはよう」 顔をまともに見られる訳もない。気恥ずかしいのと、後ろめたい気持ちで顔を背ける。 「昨日、何かあったんだろ?」 探る風ではなく、確信に満ちた口調に、甘い疼きが胸に走る。 「う・・ん・・」 君は清廉潔白です。僕は罪人ですが。喉元まで上がってきた言葉を飲み込み、無言で若林くんを見つめた。 「忘れたの?」 声が震える。そんな事実はなかったのに、若林くんに見つめられているだけで、僕の中の理性がちぎれそう。 「そうか・・すまない」 いきなり抱きしめられた。というよりは、僕の背中をベッドに押し付けて、布団に埋められる。
何で?
考える暇もなく、唇を奪われた。夜に僕のした口付けすべてを足しても足りない程、深く甘い。口の中を味わい尽くすように舌が蠢き、角度を変えて僕の顎を掴む掌は少しも許す様子がない。唇ごと心を奪われる感覚に、目の前がぼやける。 長い長いキスが終わり、僕は若林くんを見上げていた。 「きっと我慢できなくなったんだな。俺お前が好きだからな」 欲しかった言葉をあっさり言い放ち、若林くんは僕を抱きしめてくれる。 こんな手段で君を手に入れた。腹黒い僕だけど、とは聞けず、嬉しさなのか疚しさなのか、分からない動悸で眩暈がしそうだった。
(終わり)
拍手ありがとうございます。 イベント参加された皆様お疲れ様でした。 今回も行けませんでしたが、体力的にも無理でしたので、まあ仕方ないなと。いつかは参加したいものです。
明日楽しみなことがあり、今からドキドキして落ち着かないので、とりあえず更新します。 次は明日の昼に更新予定。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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