※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 去って行く仲間の姿に、岬は手を振った。自分が見送る立場になるとは思いもよらなかった。 先頭でゲートを行く日向が口角を上げた横顔を見せた後、背を向ける。若島津がその横で、目だけで微笑んでみせた。続いて反町が敬礼風に手を掲げ、タケシがお辞儀をし、次藤が大きく手を振りたい佐野を抱き上げ、新田が旗を振って早田に引っ張られて行き、立花兄弟が左右対称の動きで手を上げ、松山がにこやかに手を振ってみせ、三杉が静かに微笑む。石崎が歯を見せて笑い、井沢と滝と来生と森崎と高杉がその石崎を笑いからかいながら去って行った後、翼が駆け寄って来た。 「翼くん、またね」 言いたいことはたくさんあったはずだった。案外言葉にならないものだと、岬は拳を握りしめた。後ろの友達も心配そうに見ているのは分かる。 「岬くん」 翼はジャケットのポケットから紙を取り出した。 「今度こそ、手紙待ってるから」 「・・・書けないかも知れないよ」 「良いよ。俺、待つから。またいつか会えるのは分かってるからね♪」 ロベルトと会ったことで、翼の顔にも口調にも落ち着きと自信があふれていた。 「ありがとう。じゃあ、またね」 岬の手をギュッと握りしめてから、翼はゲートへと走り去った。翼の背が見えている間、岬は手を振り続け、岬をクールだと思っていた同級生達を驚かせた。 「じゃあ展望デッキへ行こうか」 振り向いて、上を指差したところで、岬は見慣れぬ相手に気づく。 「ピエール・・・」 いつの間に来たのか、同級生達や父の並びに立つピエールに気づき、岬は赤くなった目元を乱暴に擦った。 「さあ、行こう」
「・・・それだったら、俺も行けば良かったな」 「ううん、若林くんは見上監督のお供があったし・・・」 だから安心して取り乱すことができた。もし、若林がこんな距離にいたら、縋り付いていたかも知れない。 「見送る辛さはどうだった?」 「もうこりごり」 肩をすくめてみせる岬に、若林はねぎらうように軽く頭を叩いた。 「じゃあ、俺の見送りは?」 不意に近づけられた顔に、岬は少し顔を反らせた。こういう反則を簡単にしでかすから、油断ならない。 「お別れのキス、とか言わないなら・・・」 「大丈夫、ハグで許してやるから」 何が大丈夫なのか、油断ならない口調で笑い、若林は岬の肩を抱く。 「俺だって、見送られるよりは連れて帰りたいんだぜ」 「・・・うん」 小さく頷く。若林は岬には無理して笑うな、と言うくせに、自分は強がる悪癖持ちだ。それでも、今だけは騙されよう、と岬は思った。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 ようやく合宿話終わり。 ギャグパートの方が苦労したのは何故だ。 ゲートの場面は脳内で補完下さいますよう。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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