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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
ハニートースト
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。


 新しいシューズを見に行きたい、と昨夜から聞いていた。

 いつもなら、先に目が覚めるのは若林くんの方。気がつくと、起きてて人の寝顔を覗き込んでいたりしている。でも、そういうことをした翌朝に起きられない僕のために、朝ごはんを用意してくれたりもする。
 その若林くんが起きて来ないのは珍しいことだった。オフだから気を抜いているのかな?

 寝室に向かうと、若林くんはまだ寝ているみたいだった。裸の胸も昨日のまま、ベッドに身を沈めている。少しカーテンを開けると、目を閉じていても凛々しい横顔がはっきり見えた。本当によく眠っている。

 普段あまり見るのは恥ずかしい。だから、つい見入ってしまう。しっかりした輪郭、太い眉、高い鼻。惚れた欲目とは思わない。男の僕から見ても、その男前ぶりには憧れずにはいられない。
「若林くん」
呼んでみても起きる様子はない。
 そんなに急ぐこともないけど、早く起きてくれたら、少しでも長く一緒にいられる。
「ん・・・みさ・・き?」
「若林く・・・わっ」
名前を呼ばれたかと思うと、肩を揺すっていた腕を押さえられた。

 たちまち腕の中に巻き込まれる。いつも温かい若林くんの腕は、いっそう熱くて、触れられただけで息が止まりそうになる。こっそり見つめていたのがばれないように、必死で治まらない鼓動を静めようとする。

 そんな気持ちも知らず、若林くんの腕は僕の背中から腰にまわり、シャツの中に忍び込む。
「若林くん、ちょっとっ!」
首筋に顔を埋められ、もがく。目をつぶって、まだ起きてもいないくせに、圧倒的な力の差は埋められない。
「みさき・・あま・・い」
耳元に落とされた囁きに、びくっと体が震えた。そりゃ、君の好きなハニートースト作ってたもの。ハチミツの香りがすると思う。

 でも、君の囁きはもっと甘くて、僕を蕩かす。

 力の抜けた腰を抱かれる。寝ぼけているはずなのに、手際の良さでも力でも敵わない。
「若林くん、起きてよ」
僕だと認識してくれているのも分かる。いつもと同じ感触の手が、僕の弱いところをまさぐる。
「ねえ、起きてったら」
つい、声が頼りなくなった。半ば甘えているような声に、自分で恥ずかしくなった。

 僕は愛されることを知ってしまったから、たとえ若林くんにでも奪われたくはない。

「起きてよっ」
勢いをつけて跳ね上がった。こう見えても背筋力も脚力もある方だ。そのまま勢いで掛け布団も剥ぎ取る。
「若林くんっ!」
いきなり大声を出した僕に、若林くんは目を白黒させた。

「もっと優しく起こしてくれても、罰は当たらないと思うぞ」
若林くんはタオルを使いながら、僕の手が当たり、赤くなった頬を撫でた。
「人のことを抱き枕にするからだろ」
あのまま巻き込まれていたら、間違いなく流されて、一日が潰れてしまったはず。
「だってさ、岬の声が近かったんだぜ?。いつもは抱きしめたら恥ずかしがるくせに、あんなに近けりゃ捕まえたくなるだろ?」
どういう理屈ですか。いくら恋人でも、野獣モードで襲われるのはごめんだ。・・・いくら、あの声で迫られて、あの唇で火をつけられたとしても。
「それに甘い香りがしてさ」
言った途端、若林くんのお腹が鳴った。さすがに恥ずかしそうな若林くんの前に、バターがじんわり染み込んだハニートーストを出す。
「あのままだと冷めちゃってたよ?」

 ハニートーストは我ながら会心の出来で、お腹を空かせた若林くんの機嫌が直ってしまったのは言うまでもない。


(おわり)

拍手ありがとうございます。
新年1回目の更新、のつもりで甘い目の話、と思って前に書いたものを掘ったら出てきました。
1回目、にはならなかった&甘いのは味覚のみという計算違いが自分らしい。
とりあえず、「抱き枕にされる話」を前から書こうと思いながら、まだでしたので、これはこれで良いかと。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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