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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
朝の洗面台
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 その朝、岬は昨夜うっかりメガネをかけたまま眠ってしまったことに気付いた。
 松山との約束の時間もあって、素早く洗顔を済ませると岬は朝練に向かった。


「あれ、こんなとこにメガネあるで」
洗面所に置かれたメガネに気付いた早田が声をあげる。サッカーというスポーツの激しさから、メガネを愛用している選手はあまりいない。視力に問題があれば、コンタクトやゴーグルで対応するからだ。
 それだけに、合宿所にメガネというのは不思議で、早田が首を傾げるのも無理はない。
「見上監督・・・は昨日見えてないしね」
「三杉、何すんねん」
三杉が横から手を伸ばし、メガネを奪った。早田が抗議しようとしたところで、三杉はハンカチを取り出し、軽く拭く。
「その持ち方だと指紋が付くからね」
そこで素直に謝れば良かったのだが、三杉の拭き方は少々念入りで、早田の神経をも逆なでした。
「うるさいわ。男のくせに細かいことばっかり気にしてたら、はげるで」
「あいにく、僕の家は禿げにくいみたいだよ。・・・君こそ、大丈夫かい?」
しもた、胃に穴あく、にしておけば良かった、と早田は悔やんだ。しかし、この三杉の胃に穴があくとはとても思えない。

「何を朝から騒いで・・・」
そこに現れたのは若林である。同じ中学生とは思えない風格に、さしもの三杉早田も黙らざるを得ない。周囲の反発を買ってはいても、一目置かれる存在なのには変わらない。
「早田くんがここでメガネを見つけてね」
チームのためとは言え、今は悪役を装っている若林である。見るからに不愉快そうに口をきこうともしない早田に代わって、三杉がハンカチを広げてみせた。
「ああ、それは岬のだな」
一目見るなり断言した若林に、三杉と早田は思わず顔を見合わせた。合流したばかりの岬がメガネをかけているとは知らない。
「岬くんはメガネをかけてるのかい?」
「ああ。知らなかったか?」
平然と答える若林に、三杉と早田は頭が混乱した。
「グラウンドであんなによく見えているのにかい?」
岬のチーム把握能力の高さは、三杉も認めるところである。空いている味方を把握して、寸分狂わぬパスを送る。その確度からすると、考えられない。
「遠視らしいけどな」
笑う若林は、普段グラウンドで怒鳴りちらし、ひどく嘲笑する時とは違っている。最近合宿に合流した岬といえば、よく知らない早田から見てもサッカーがうまいだけでなく、人当たり抜群、器量よしで、誰にでも好かれるようなタイプである。その二人が仲が良いとは早田の理解を超えていた。

「何やできてんのか?」
軽く言った言葉だったが、若林に襟首を掴まれて、早田は慌てた。早田も腕に自信はあるが、体格差の大きさに加え、何度かゴール前で弾かれた記憶が体をすくませる。力ではおそらく勝負になるまい。
「やめたまえ、二人とも」
三杉が仲裁に入るが、三杉はこの合宿所きっての頭脳派。武闘派からは遠い方である。若島津でも通りかかってくれればいいが、そんなにうまくいくとは限らない。何とか説得できないかと考えているところに、当の岬と松山が通りがかった。
「何してるの?」
「み、岬・・・」
岬の声に、若林は即座に早田を解放した。これ幸いにと早田は一歩下がり、斜めに向けた視線で威嚇する。体格に似合わぬあの瞬発力で、また不意打ちを食らわされてはたまったものではない。
「これ、君のメガネかい?」
メガネを見せた三杉に、岬は少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「あ、忘れてた。ありがとう」
殺伐としていた空気が一気に和む。早田はやはりさっきの前提はないと否定し、三杉は一応収束したことに安堵しつつも、以前からの疑問に解答が与えられたことに満足し、若林はやっぱり岬は可愛いな、と思った。早田も〆ておいたから、二度とあんなことを言い出したりはしないだろうし。
 そして、蚊帳の外だった松山は、岬はメガネも似合うな、と思うのだった。


(おわり)

拍手ありがとうございます。
合宿シリーズです。今回はバカバカしい話にしました。こういうことからバレたりしますよね。
そして、久しぶりのじゅんちゃんまこちゃんです。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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