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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
昼下がりのカフェ
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。


「誰にも気付かれなかったかな?」
岬は不安げに辺りを見渡す。久しぶりに会うせいか、曇りがちの表情でも可愛くて、つい見惚れる。

 全日本Jr.ユースが、いよいよ大会本番に向けてフランスに移動した。初日はどうせ移動日だから、会いたいと言ったら岬は少しためらってから、うんと答えた。
 岬がフランスにいることを見上さんが発表してしまったことを伝えてから、岬は思うところがあったのか、少し沈んでいる。全日本に参加することを決めたと言っていたし、やはり゛再会″が怖いのかと勘繰ってみる。
「とりあえず、どこに行く?」
俺が勘繰っていることは、岬に気付かせるべきではない。何気ない風を装って、岬の顔を眺める。
「若林くんはどこに行きたいの?食料の買い込み?」
悪戯っぽく笑って岬は逆に俺の顔を見返す。大きな目がキラキラと輝くようで、からかわれていると分かっていても、悪い気はしない。合宿中に食事が足りなくなる話を前にしたのだが、よほど印象に残ったらしい。
「そうだな。とりあえず、それは岬に任せる」
「ふうん?」
岬はまだ何か言いたげだったが、先を歩き出した。相変わらず不思議な奴だ。
 岬は変わらないのに、どの時間にどんな場所で会っても、不思議と似合って見える。最近フィールドしか似合わないやぼ天に囲まれているせいか、岬のそういう部分は際立って思えるが、一方でそれは迷いの元なのだと思う。

「それで、いつから合宿に来るんだ?」
一通り買い物をした。フランスパンよりプレッツェルが良いと言ったせいで、随分遠くまで来たが、岬はそれは気にならないようだった。
 カフェで、合宿の話を持ち出すまでは。

「・・・決めてないよ。家のこともあるし」
岬はレンガで舗装された道を眺めながら、吐息のように答える。フランスに慣れたせいか、岬の言葉は時々吐息混じりになる。
「そうか・・・」
それっきり黙ってコーヒーを口にする。一口、二口飲む内に、沈黙に耐えられなくなったのか、岬がこちらを向いた。
「何が怖い?」
技量はフランスJr.に挑んできた、と言っていた位だ、岬の足をすくませる脅威ではない。
 そして、誘導の言葉を口にしたことで、俺は敵から除外される。
「・・・翼くんだけが怖い」
岬はためらいがちに口にした。伏せられた目に、長い睫毛の影が差す。
「・・・そうだろうな」
岬は俺の言葉に視線を伏せたまま紅茶を飲む。
「変わっていなさそうだから」
付け加えられた言葉に、またひとつ納得がいった。

 岬にだって色々理由がある。一カ所に留まれない家の事情も。その上で、自分が立ち止まっていると岬は思っている。
 俺はそんなことは分かっていたし、それでも前を見てサッカーを続けている岬はたいしたものだと思っている。むしろ会いに来てくれたのを幸いに、デートに誘ってしまうほど。
「翼をがっかりさせたくないんだろ?大丈夫」
不思議そうに投げ掛けられる視線に、まっすぐ見返す。
「俺がベタ惚れなの知ってるだろ?」
甘い色の瞳を覗き込むと、岬は恥ずかしそうに顔をそらす。会う度にこうして口説いているが、岬には恥ずかしいらしい。それでも会うのをやめない辺りに岬の真意があるはずだが。
「可愛いだけで好きなんじゃないぞ。性格も才能も全部知ってて好きなんだからな」
我ながら最後は力業になった。岬は言い切った俺に、優しく微笑む。
「・・・ありがとう」
困ったような笑顔に、俺の気持ちが伝わったことが分かる。
「じゃあ、そろそろ帰るな」
「うん、気をつけて」
家まで送る、というのを岬は断った。早く帰って、ゆっくりした方が良いと勧める岬とそこで別れた。

 その数時間後、翼が道端で遭遇した岬を連れて来ることになる。翼と笑い合っている岬からは、もう不安の色は消えていた。
 周囲と反目し、笑ってはいけない立場なのに、つい笑いかけそうになるのを我慢しながら、やっぱり岬は笑顔でいてほしいと思った。


(おわり)

拍手ありがとうございます。
すぐに合流できない岬くんの不安を描きたいと思ったのですが、若林のろけ物語に。何故?


以下、拍手お礼:
snow様、コメントありがとうございます。
小さい若林くんは本当に可愛いはず。(うまく書けてはいませんが)
でも、元に戻った時に恥じらいながらも喜んでしまう岬くんの可愛さ!(これも書けていませんが)
そこをご指摘いただいて、とても嬉しいです♪
やっぱり源岬って良いですよね。・・・と言いつつ、二人を色々な目に遭わせてすみません・・・。


拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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