※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 2
洗面所の鏡の前で、岬に抱き上げられる。岬は見た目よりは力のある方なので、かなり高く抱き上げてくれた。 「・・・これ、俺だよな?」 「・・・多分」 鏡に映っているのは、どう見ても小学生だ。見覚えがあるのは、昔の姿そのままだからだろう。お世辞にもかわいいとは言い難いが、岬と比較して小さい。 「そんな帽子をかぶってて、そんなに態度の大きい小学生は君しか知らない」 岬は静かに言うと、俺を下ろした。そして、屈みこみ目線を合わせると、俺を覗き込む。 「さっきはごめんね、びっくりして。気分は大丈夫?」 「・・・ああ」 穏やかな顔はしているが、岬が動揺していない訳がない。それでも、俺を落ち着かせようと、冷静なふりをする岬に、俺も落ち着かざるを得なかった。 「どこも痛くない?気持ち悪くない?」 「ん、大丈夫だ」 心配そうに、いつもよりもくっついてくる岬の髪がくすぐったい。だが、その暖かい腕に安心した。少しだけ体重を預けると、岬はゆっくりと腕をまわしてきた。 「大丈夫だからな」 「うん」 そう言ったくせに抱きしめてくる岬に、苦笑した。いつもはすぐに恥ずかしがるくせに、どれだけ心配なんだ。 本当だったら、今頃は甘い甘い時間のはずだった。それが、岬に強く抱きしめられて、こんなに心配をさせて。
「服、そんなのしかなくてごめんね」 「十分。岬の匂いするし」 貸してくれたトレーナーと短パンに着替える。ウエストに紐がついているタイプだったおかげでずり落ちないのは助かる。大きいから不恰好だが、寒さは防げるようになった。 「っもう、何言ってるのさ」 照れくさい口調のくせに、言いながらくっつく岬は、非常にらしくない。 「いつもはくっつくと恥ずかしがるくせに」 「だって、若林くんかわいいんだもん」 「はあ??」 つい口調を荒げてしまう。まさか岬にかわいいと言われる日が来るとは思わなかった。 目の前の岬を見返す。大きな目が特徴的な整った顔立ちに、内面の強さをあまり感じさせないような、優しい雰囲気の、11歳の時から恋焦がれた相手だ。その岬に、かわいいと言われるとは思ってもみなかった。本来なら、濃密な時間を過ごす予定だったんだぞ。 「それに、若林くんって昔から若林くんだったんだな、って思って」 それでも、ほんのり頬を染めている岬の顔を見たら、怒る気はうせた。 「傷ついたから、今日は一緒にいてもらうからな」 「はいはい」 くすくす笑いながら、岬は俺の隣に座る。 「良いよ。ずっと一緒にいる。お風呂も入ろうね」 「・・・」 普段は絶対に言わないことをにこにこ笑って話す岬に、混乱すら引っ込んだ。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 携帯なかなか復調せず。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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