※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 9
俺の家に着いた岬は、周囲を少し見渡すと、いつも座っていたソファーの右手に腰掛けた。 「若林くん、僕いつもここに座ってた?」 「ああ」 寸分違わずその場所に。俺はその手にホットミルク入りのマグカップを乗せる。 「僕のカップ?」 「ああ」 岬は少し口にしてから、ソファーの左側に座った俺を見る。何度か瞬きを繰り返して、岬はカップをテーブルに置いた。 「ん?どうかしたか?」 岬は周りを見渡し、小さく微笑んでみせた。 「僕、確かにここで暮らしていたんだな、と思って」 優しい顔には、少しだけ陰りが見える。岬は俺の世話になったことに、気遣いをしているに違いなかった。俺にはそんな資格もないのに。 「気にするなよ」 言った俺を見上げて、岬は首を振る。その睫毛の長い、大きな目に見つめられるだけで、俺の息が止まりそうになるのを、この岬は知らない。その印象的な目を、いっそう見開いて、岬は俺を見上げる。 「違うよ」 岬は言うと、手を伸ばしてきた。ついその手を握った俺に、岬は口元を緩めて、優しく微笑んだ。見るだけで心が温かくなるような笑顔に、一瞬目を疑った。記憶を失っていた時ならともかく、記憶を取り戻した岬が、そんな風に俺に微笑みかけてくれるとは、思ってもみなかった。 「やっぱり。ずっと、僕の手を握ってくれていたのは、若林くんだったんだね」 記憶を失っていた時よりも凛とした表情は、本来の岬のもの。嬉しそうな笑みを浮かべる岬に、俺は言葉を失った。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 心当たりを掘ったりして、以前に書いたものを先にアップ、それから今だらだら書いているものを・・・と思っているのですが、ギャグしか書いていません。1話だけ書いていたものなども終わらせてから、と思って書き始めたら、またギャグに。 どうしたものでしょう。
以下、拍手お礼 C様、お久しぶりです。ご無沙汰しております。 一応復帰したものの、挨拶まわりすらできていない辺り、本当にお恥ずかしい限りです。 気にかけていただいたようで、すみません。でも、嬉しいです。こちらこそ、またお邪魔させていただきます。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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