※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 8
遠征に出る間、岬を入院させてもらえるよう、手配はしてあった。と言っても、一ヶ月目の経過検査をその日に充てただけだったが。病院まで岬を送り、チームに向かったのが、一昨日。
そして、俺の携帯電話に後見人から電話があったのが今朝。 「遅くなりました」 半日の休みをもらい、病院に駆けつけると、ベッドには岬が座っていた。 「・・・やっぱり若林くんだったんだ。ごめんね、色々面倒をかけたみたいで」 岬は俺を見ると優しく微笑んだ。俺の後見人の他に、病室には病院のスタッフらしい人がいて、以前と同じように、フランス語で岬に説明をしてくれていた。
一目で何が起こったのか、理解できた。そして、分からなくなった。
「岬・・・」 どう声をかけて良いのか分からなくて、岬のベッドに近づいた。岬は俺を見上げる。 「・・・記憶、戻ったんだな」 「うん。おかげ様で。ありがとう、若林くん」 岬は元の岬だった。俺が気持ちを打ち明ける前のように、優しい笑顔で笑いかけてくる。 「いや、たいしたことはしていないから」 「ううん、助かった」 感謝だけとはとても思えなかった。あの時、困惑した表情をしていたのが嘘のように、岬は笑顔を向けてきた。
記憶は、戻ったはずなのに。
釈然としないまま、考え込んでいる内に、岬の親父さんが駆けつけて来るまでの間、俺の家に岬を泊めることになっていた。
(つづく)
繋げるのは面倒ですので、分割したままですが、そのまま上げます。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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