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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
記憶(3)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。




「えっ?」
すぐには認識できなかったのか、岬は大きな目を見開いて、問い返した。
「恋人、だ」
岬をだますのは心苦しい。だが、そうとでも言わなければ、岬は世話になる理由はないと突っぱねる。だから、嘘をついた。写真を手に絶句した岬の肩を抱く。
 あの時も思ったが・・・細い肩だ。それが一層頼りなく思えて、つい指先に力がこもる。

 支えてやりたい。

「だって、君と僕は男で・・・」
「嘘じゃない。考えてみろ。お前、ドイツ語分からないくせに、友達のところに来るのか?」
無理矢理にでも説得するしかないと思った。効果的に嘘をつくには、本当のことに嘘を少しだけ混ぜる。我ながら牽強付会の苦しい言いぐさだったが、岬は黙って聞いた。
「そうだよね。君の言う通りだと思う。・・・僕、君のこと好きだったような気がする」

 岬の為に買ったカップがすぐに役に立った。岬はホットミルクのカップを手にしながら、時々ぼんやりと遠くを眺めた。
 まだ、頭がついていかないのだろう、と想像がついた。頭では理解していても、感情が追いつかないのだろう。
 でも、そうして俺の隣でぼんやりとしている岬は、抱きしめたい位に可愛かった。
「なに?」
不意に、肩を抱き寄せられた岬が、ゆっくりと俺を見上げる。怖がっている様子はなく、ただ聞き返すだけの様子に、安心した。
「ねえ、本当に迷惑じゃない?」
そんなはずがない。むしろ、ほっとした。
「俺はお前が好きなんだぜ。むしろ、いつまでもいてほしい位だ」
腕の中の細い体は、渾身の力で抱けば、脆く壊れそうな気がする。そんな小さな存在なのに、俺の心は奪われ、俺の意のままにはならない。
「分かったよ。・・・ありがとう」
小さな声が言った。細い肩が揺れる。心細いはずだが、それを見せようともしない辺りは元の岬のままで、心配なはずなのに、焦がれる気持ちがそれを上回った。
「わっ」
抱き上げられて、驚く岬を無視して、そのまま寝室に向かった。

(つづく)

拍手ありがとうございます。
今月初めての連休。って、後半なのですが。
この連載は昔書いたのの掘り起こしなので、直せたら更新します。
とりあえず、明日も更新予定。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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