※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 1
知らない番号からの電話に出ると、それは警察からだった。 「東洋人の少年が怪我をして病院に運び込まれた。この電話番号を持っていたから、連絡させてもらった」
瞬間、目の前が暗くなった。
岬・・・!!
他に心当たりはなかった。状況を問いただしても怪我、以上のことはわからない。どうか無事でいてくれ、と祈りながら急いで病院に駆けつけた。
案内された病室では、状態を確認する間もなく、困り顔の警官が喚いてきた。 「他に連絡先が分からなかったんだ。ドイツ語が分からないらしくて、フランス語で話している」 フランス語で意志の疎通ができているのに、連絡先が分からない、とはどういうことだろう。とりあえず話ができる状態ということに安堵しながらも、不安は拭えなかった。
遠目で見た時には、本当に心細そうに見えたのに、ベッドに近づいた俺を認めて、岬は微笑んだ。 「岬、大丈夫か?」 日本語で問いかけた俺に、岬が視線を返す。ほっとしたような、困惑したような表情は今まで見たことがなかった。見上げる目は潤んでさえ見える。どうした、ともう一度尋ねる前に、岬は呟いた。 「良かった・・・日本語が通じるんだね」 奇妙な返答に、面食らった。
一昨日、岬と3年ぶりに再会した。雑誌の記事を見ただけで、わざわざ国境を越えて、はるばるフランスから会いに来てくれたという岬に、俺は当然もう一度恋に落ちた。
「岬、好きだ」 昨日の夜、想いを告げた俺に、岬は当惑を隠さないまま、見返してきた。 「・・・3年ぶりに会ったばかりなのに、そんなこと言われても・・・困るよ」 「じゃあ、ゆっくりでも良いから、考えて」 岬は、困ったような表情のまま、客用の寝室に消えた。 そして、今日。俺が目を覚ますと、岬はすでにいなかった。俺は仕方なく練習に行き、それから帰宅して連絡を受けたのだった。
「岬、何言って・・・」 言いかけて、やはり岬の反応がおかしいのに気づいた。自分の名前を呼ばれているのに、反応がない。 「お前、まさか記憶が!?」 さほど想像力が豊かではない俺でも、容易に想像がついた。 「やっぱり、そうなんだよね・・・」 静かな口調の相槌が返ってくる。そこで、冷静に状況を認識している辺り、岬は本質的には変わっていないのだと知る。
「彼の家族はフランスにいるので、とりあえず自分の後見人を身元引受人にする。彼の家族には、こちらから連絡を取る」 少し考えてから告げると、警官はほっとした様子に見えた。看板が落ちて、岬の怪我の元になった店も、助かったという反応だった。父の友人でもある後見人に連絡をとり、後のことを頼んでから、岬に向き直った。 「とりあえず、俺の家に帰ろう。話はそれからだ」
(つづく)
データが残っていたので、とりあえずあげておきます。 以下、拍手お礼
SNOW様、拍手ありがとうございます。 ご無沙汰してしまい、申し訳ありません。こっそり更新したつもりが、拍手をいただき慌ててしまいました。。。 甘えることを覚えた岬くん、可愛いと言っていただけて嬉しいです。 またぼちぼち活動させていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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