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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
怪盗(7)
※二次創作を更に混ぜております。いつも以上に閲覧にはご注意下さい。


「・・・」
どうしてこんなことになったのか。岬は若林の胸の中で考える。


「今回の依頼は、博物園のレプリカの小刀を本物と取り替えて欲しいんだって」
三杉は小箱に入れられたビニール袋を取り出す。
「綺麗だろう?外国の盗賊団に狙われたとかでレプリカを作ったらしいんだけど・・・」
間違えた、と言われてもその真意を疑ってしまう程、綺麗な小刀である。そのまま間違えて返したとなれば、確かに問題になるのは目に見えていて、岬は小さく頷く。
「ただ、その盗賊団とやらもまだ狙っているらしい」
三杉の声は珍しく緊張の色を帯びていた。

「予告状出してないのに・・・」
若林の私設探偵団が警備に混じっているのを見て、天井の梁に隠れた岬は不安にかられた。
 小刀を狙っているという盗賊団ウルグ・アイは以前から手荒いやり方で有名である。岬も何度かやり合っただけに、若林達に関わって欲しくない気がしていた。
 更に小刀の周りを歩くシュナイダ-まで見つけて、岬が引き返したい気持ちになったのは言うまでもない。
 それでも、身につけた小刀の重みに、岬は動いた。
「1・2・3」
岬のカウントダウンと共に、照明が落ちる。暗視レンズでフロアを見渡すと、懐中電灯で辺りを照らす若林がはっきり見えた。
 先に眠らせるべきか・・・と考える岬の方に向かってくる人影が一つ。
「必ず来ると思ったぞ、怪盗ボール」
ウルグ・アイの片割れビクトリーノの声だと判断した岬は素早く回避し、一撃を加える。
「うっ」
ウェイトが変わらない以上、ステッキのリーチは大きい。ステッキを畳み、岬は小刀の展示ケースまで急いだ。特別展示だからと天蓋まで施されており、力の入れようが伺える。
「かかったな」
飛び掛かってくる若林の隙をついて、ケースに近づく。その瞬間、ケースの近くから顔を出したのは、ウルグ・アイの片割れ日野だった。警備員の服装の日野は素早く小刀を取り出すとそのまま身を翻した。
「待てっ!」
若林が追おうとした時、急にバサッと天蓋が落ちてきた。そして、ガスの噴射される音。
「催涙ガスだ!」
猛烈な刺激に、若林は目を覆って叫んだ。そう言えば、シュナイダ-がその手の話をしていたことを若林は思い出す。
となるとこれはシュナイダ-の仕業らしい。怪盗捕物ための仕掛けをしていたに違いないが、最悪のタイミングだと、若林は口を押さえ、それから隣にいる怪盗ボールに気づいた。
「大丈夫か?」
岬は口を押さえながら、「Yes」と答える。日野が盗んだのはレプリカだから、懐の本物を置けば仕事は終わる。
「あいつはお前の仲間じゃなさそうだな・・・」
若林はそう言うと、岬を抱き込んだ。不意に抱き込まれてもがく岬に、若林は静かに声をかける。
「お前が来たからには何か理由があるんだろ?なのに、今回はやり過ぎで申し訳ないからな」
元々暗視レンズで武装はしている。その上胸に押し付けられると、更に楽になるような気がした。

「どうだ、怪盗ボール観念しろ!」
しばらく経ってから、天蓋を吊り上げたシュナイダ-が見たのは、怪盗ボールを抱き込む若林の姿だった。
「ヘイ、ワカバヤシ、気でも違ったか!?」
シュナイダ-が叫んだ瞬間、岬は身を翻し、脱出した。

「あれはさすがにやり過ぎだろ?」
シュナイダ-に怒鳴られた若林は顔を洗いながら答える。実際、シュナイダ-の罠のせいで、若林は日野を追えず、追った滝と来生も取り逃がしている。
「だが・・・」
「うるさい」
若林はシュナイダ-の抗弁を一蹴すると、何故か手の中にあった小刀を見た。若林にはそれが本物なのは間違いない気がした。
「また・・・やってくれたな、怪盗ボール」
いつかは捕まえないといけない相手と分かっていながらも、魅かれる心を止められない。


「お疲れ様でした」
「うん、本当に」
岬は三杉の労いに、笑顔を向ける。
「久々に大変だったよ。ウルグ・アイに追いついて取り返して・・・」
苦労話のくせに、どうしてそんなに嬉しそうなのか。聞くだけ野暮だと諦めて、三杉は紅茶をいれた。


(つづく)


拍手ありがとうございます。
緊張感のある関係なのに、助け合ってしまうというのが好きです。
そして、ウルグ・アイ。最初はシュナイダ-に捕まる展開でしたので、この二人にしたのですが・・・意味なくスタイリッシュな怪盗団になってしまいました。この展開ならアルゼ・ンチンにすれば良かった。


携帯がついに故障。代替機にはまだ慣れない・・・。
かと言って、色々カスタマイズする訳にもいかにし、で葛藤中。
ただ、今日の更新、実はいつもの倍くらいの時間がかかっています。
しばらく更新できないかも知れません。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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