※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 若林がさっさとドアに駆け寄るのに、若島津は目を見張った。先祖は殿様と断定されがちな若林とは思えないサービスである。 「ありがとう、若林くん。若島津もお邪魔するね」 ニコニコと笑顔で入って来た岬は、相変わらず可愛らしい。体格の立派な若林と並ぶと、いっそう小柄に見える岬に、若島津はとりあえず様子見に徹することにした。 「部屋きれいだね」 部屋の主の二人と同い年の男とは思えない、可愛らしい仕草で首を傾げる岬に、若林が楽しそうに笑い声を立てる。 「また翼が散らかしているのか?」 「うん・・・もう慣れたけど」 こういう大会に招集される度に、岬の同室はたいてい翼である。もしくは、三杉。それに比べたら、若林はマシな方かな、と思ったものの、ふと気がついた。 白いパーカーの岬の肩に、さりげなくまわされている右手。しかも若林の左手は、それに気づいた若島津に対し、出て行けと指示をしている。 自称温厚な若島津ならずとも、眉間にシワを寄せてしまっても仕方ない。 「ちょっと日向さんとこに行ってくる」 だが、さっき話を聞いたばかりである。大人を自負する若島津は少し位塩を送ってやることにした。 「若島津」 声をかけたのは岬だった。顔を上げた拍子に栗色のさらさらの髪が揺れ、若島津さえ思わず見とれた。 「廊下、冷えるから上着着て行った方が良いよ」 子供の頃の面影を残す童顔であっても、岬は昔から大人びたところがあった。苦笑して頷く若島津だったが、鋭い視線を感じて、上着に袖を通しながら顔を上げた。視線の主は、渋面の若林で、先程までの上機嫌はどこへやら、若島津を睨みつけている。 「じゃあな」 足早に部屋を出ると、廊下は確かに肌寒い。ピリッとした空気の冷えをかえって心地好く感じながら、若島津は今見た光景を頭の中で反芻する。
若林の奴、岬にべた惚れかよ。
若島津を追い払おうとしたり、岬の前ではニコニコしていたり。若林への印象が変わっていくのを若島津は感じた。
あいつ、小さく会釈するんだもんな。
ライバル関係は友情に繋がるかは分からないが、日向が翼には厳しいくせに、どこか甘いことを思い出し、若島津は小さく笑った。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 若島津くん誕生日話を書こうと思いつつ、タイミングがなくて・・・。 遅れましたが、以前の「家出」の前提的な話を書きたかったので、ちまちま書いてみました。 他人事だからこんなにクールな若島津くんですが、若林くんも同じように時々冷静じゃない若島津くんを観察しているはずです。
今週来週位で88888に届きそうです。今回もキリ番踏まれた方のリクエストを受け付けます。(ただし源岬のみ!)
以下、拍手お礼:
あまね様、いつもありがとうございます。 若島津くん話が楽しみというメッセージありがとうございます。うちの若島津くんも気に入って下さって嬉しいです。
C様、いつもありがとうございます。 本当に岬くんファンとしてはもどかしい限りですよね。せめてここでは、と妄想が爆発してしまうのですが。 色々書いてはいるのですが、いかんせん底が浅いので、少しでも深くなるよう精進したいものです。よろしければまた遊びにいらして下さい。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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