※三次創作です。苦手な方はご注意下さい。
今回の二次は、彦生円宮様の金魚鉢シリーズです。 【のろいで金魚になってしまう王子の翼くんを助けようとした 金魚の日向くんは、魔法使い若林の魔法で人間になってしまいました。 日向くんは、翼くんとバトラー三杉くん、教育係岬くんの住むお城に、 いやいやながら住み始めたのでした】(こんな話だったはず) でも、ほぼオリジナルです。(って、いつもですね)
本日も xxx-titlesさまよりお題をお借りしています。 お題一覧はこちら 「え・・・っと、これ、かな?」 岬はバトラー三杉の描いた地図を見ながら、周囲を見渡した。 洞窟を入って三つ目の通路を左に入る。薄暗い洞窟の奥には確かにほのかな明かりが見える。 「こんにちは」 「誰だ」 岬が挨拶すると、鋭い声が返ってきた。そして、岬の顔を認めて、語気を和らげる。 「なんだ、城の奴か。三杉の使いだな」 「うん。こんにちは。三杉くんからお薬を受け取ってくるように頼まれて」 バトラー三杉くんに頼まれて、魔法使いの若林くんのところに使いに来たものの、こう暗い洞穴の中でこの対応である。岬でなければ、驚くなりしているところだろう。 「・・・動じない奴だな」 この城の奴らはみんなそうだ。三杉がどこから集めてくるのかは知らないが、海ではサメよりも恐れられている若林の姿を見ても、誰も驚きもしないで、普通にお茶を出してくれる。この岬などはその筆頭で、可愛い顔をしているが、あの城で常にニコニコしていられるのは、並みの神経ではない。それを見込まれて、教育係を勤めているのだろうが。 「これが、三杉くんからの品物です」 積み上げられた陸の薬草に、若林は頷いた。薬の材料になる草は貴重で、三杉と取引ができるのは助かっていた。 「それは、何の薬?」 側で覗き込む岬に、若林はイタズラ心を起こした。 「翼を元に戻す薬、を頼まれてるんだ。ただし、誰かの心臓が必要だから、まだ完成していない」 そんな怖い話をしたら、泣くんじゃないかと期待した。この教育係は何も怖くない代わりに、非常に優しいと聞いていたから。だが、若林の目の前で、岬はたすき掛けにしていた飾りを取り去った。 「おい、何をするんだ?」 行動の意味が分からず慌てる若林に、岬はにっこり微笑む。 「それなら、僕の心臓を使ってくれる?翼くんのためにしてあげられるなら、良いよ」 まさか、そう来るとは思わなかった。おやつでも用意するように気軽に言う岬に、若林は苛立ちを隠さない。 「ばか!冗談に決まってるだろ!俺がそんな、誰か、頼みの薬なんか作るかよ」 「・・・そうなんだ?翼くんを助けてあげられると思ったのに」 「だから、ばかだと言ったんだ。翼が元に戻っても、お前がいなきゃ淋しがるだろ」 そんなことを言うつもりなどなかった。すべてうまくいくなんて、そんな甘い考えなど持ったことはなかった。だが、つい口に出していた。自分の言葉に呆然とする若林に、岬が微笑みを向ける。 「君って案外良い人だったんだね」 「案外って、何だよ。もうお前城に帰れよ」 一筋縄ではいかないから、あの三杉の側でも平気らしい。声を荒げた若林に、岬は荷物をまとめた。 「うん。そうさせてもらうよ。翼くんを寝かしつけないといけないからね」 優しく微笑む岬に、薬と一緒に使った飴を手渡しながら、若林も微笑み返した。 「じゃあ、今度は俺を寝かしつけに来いよ」
(おわり)
この二次は「けとばしマン」に比べると知名度低そうなのですが・・・前から書きたかったので。「僕の心臓ごと差し上げます」暗がひどかったので、つけてみました。これも自分だけ楽しいです。
from past log<2008.12.1>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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