※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 若島津は途方に暮れていた。
全日本の合宿に若島津が合流したのは、日向の誘いによるもので、若島津も納得してのことだ。その日向と同室になれなかったのは百歩譲って良しとしよう。だが、今回は同室がよりによって若林なのだ。しかも二人部屋。
若島津と若林と言えば、昔からのライバル関係である。お互い旧家の出身同士であり、それなりに話は合いそうなのだが、ライバル感情が強すぎて、それどころではない。 「若島津」 先に口を開いたのは若林の方だった。遠征慣れしているだけのことはあって、さっさと荷解きした手を軽く払い、椅子に深く腰掛ける。 同じく整ってはいても、きれいな顔立ちの若島津とは違い、若林は男前と言われる類いの顔をしている。落ち着いて座っている様子だけでも、様になっており、若島津とすれば、小憎らしい。 「何だ?」 若島津とすれば、気に食わなければ部屋に来い、と言っていた日向の部屋に出向けば済む話だ。日向の同室は反町で、若島津にすればホームのようなものだった。 だからといって、自分から出て行くのは沽券に拘わる。 「後で客が来るから、外してくれないか?」 若林の言葉に、若島津が拍子抜けしたのは確かだった。 若林からはいつもの鬼気が感じられず、穏やかな雰囲気を醸し出している。 「客って?」 聞き返す若島津に、若林は組んでいた足を組み替えた。 「岬」 「岬?」 若島津の顔に疑問符が浮かんだのは無理もない。 岬、も若島津にとって昔馴染みの一人だ。小学生時代にはチームメイトにも敵にもなった。もう成人も近いのに、可愛らしくて、天使の笑顔という言葉の似合う岬、の中身が幼くも天使でもないことをよく知る若島津だが、若林と岬という組み合わせは不思議だった。 「岬はフランス時代に遊びに来てくれてな。それから仲が良いんだ」 にこやかに話す若林に、若島津はやや驚き、それから不思議でもないと思った。岬はしたたかな面もあるが、芯は通っているし、人当たりも良く、友達思いでもある。何より、あの日向や松山が岬を前にする時の笑顔を若島津とて知らない訳ではない。 「まあ、良い奴だからな。敵にまわすと厄介だけど」 「はは、そうだろうな」 若林と普通に会話をしている自分、に若島津は驚いた。だが、この様子だとサッカー、やキーパーなどの荒れる話題でなければ、何とかなりそうだ。若島津が安堵したところで、ドアがノックされた。 「岬だけど」 ドアから顔を覗かせたのは、話題の中心人物だった。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 今日は何故か地震が気になって落ち着かない感じです。どうしたんでしょう?? しばらく忙しくなるので、更新が少なめになります。ご了承下さい。
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美砂様、コメントありがとうございます。 同じご意見の方がいらっしゃって嬉しいです♪ 当時は本当に訳が分かりませんでした。・・・って今もですが。 楽しんで頂けたようで、何よりです。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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