※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
お題をノラ様の確かに恋だったさまよりお借りしたテーマ短編「切ない恋」 若林くんは夕立を連れて来た。
約束していた訳でもないのに、いきなり家に駆け込んで来た若林くんに、びっくりして言葉も出ない。それなのに、若林くんは平然と笑う。 「ちょっと顔が見たくなってな」 そんな距離じゃないのは、僕が一番知っている。 「とにかく、上がって」 自分の気持ちも、見ないふりをする。
それから15分後、シャワーも浴びて、父さんの新品のシャツを着た若林くんはソファーに座っていた。 「いきなり来て悪かったな」 「ううん、そんなことないよ」 濡れたままで玄関に上がろうとするのを制止したり大変だったけど。 その分、この前、若林くんの家に行った時以来の気まずさは消えた。
何日も一緒にいたせいで、帰るのが辛くて仕方なかった。また会えると分かっているのに涙は止まらなくて、気がつくと僕はボロボロ泣いていた。 そして、それだけじゃない。 「コーヒーで良い?」 「ああ」 熱いコーヒーにした。若林くんはカップの温かさを楽しむように、口にする前にカップを手で包んでいる。 「寒くない?」 「大丈夫。それよりびっくりしたろ?」 「心臓が飛び出るかと思ったよ」 僕の答えをひとしきり笑うと、若林くんは優しく目を細めてみせる。 「会いたかったぜ」 若林くんは時々こんな笑い方をする。普段の厳しい印象とは少し違う、人懐っこい笑顔に、引き込まれる気がする。 でも、僕は笑えそうにない。君の顔を見て、友達のふりをしては笑えない。 「ありがとう」 それしか言えなかった。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 風邪っ気がとれません。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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