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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
三人(11)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 部屋に着くなり、岬を抱きしめた。慌ただしかったが、岬は黙って俺に身を預けて来た。
 不安があった訳ではないが、嬉しくて仕方なかった。

「岬」
しばらく抱き合った後、たどり着いたベッドの上で、ゆっくりと口を開く。
「なあに?」
俺の胸にもたれた岬が聞き返す。その声は、いつも凛としている岬にしては甘いもので、確かに甘えられていると感じる。
「優勝したら」
「優勝したら?」
聞き返す岬の身体に手をまわす。相変わらず華奢で、簡単に抱きすくめてしまうから、少しだけ慎重に、少しだけ優しく。
「お前がほしい」
「・・・うん」
小さく頷く岬の髪を透いて、耳元に唇を寄せる。
「絶対だぞ」
「君こそ、逃げないって約束してね。ここまで来たら、最後までこのチームに付き合ってもらうよ」
重ねた手の親指を、岬が握る。その手を握り返して、包む。

 岬が何を言おうとしていたのか、その時には分からなかった。
 だが、岬は予想していたらしい。この大会で俺が出場することになることを。

 優勝に沸く日本チームの横をすり抜けて、岬が通り過ぎて行った。レセプション会場から、バルコニーに出たようだ。何となく、後を追って動く。
 ふと脇を見ると、翼はこの前のことなど忘れた様子で、ロベルト本郷に纏わり付いている。翼も苦しくて寂しかったのだろう。良かったな、とだけ思った。

 さて岬は、と目で追うと、一人で窓の側に佇んでいた。
「どうした?」
肩を叩くと、岬は薄紅色の頬を隠すように頬を覆う。
「みんながいて、君がいて・・・良い景色だなと思って」
会場では、チームのみんなが笑っている。俺も何度かシャンパンを浴びせられそうになったのに、怒る気にはならない。
 そう言う岬は、微笑んでいるのに、今にも泣き出しそうに見えた。
 もうすぐお別れだ、などと思っているに違いない。それをこうして独りで耐えて、楽しかったことだけを胸に焼き付けようとしているのに違いない。
「俺が、寂しい思いなんてさせると思うか?」
「あはっ、本当だね」
抱き寄せた岬は、そのまま顔を上げようとはしなかった。俺の胸に顔を埋め、抱き着く岬の頭を撫でる。
 お前がここにいる意味も俺には分かる。だから離してはやらない。
「今晩、待ってるね」
ごく小さく囁かれた誘惑に、髪の毛がくしゃくしゃになるまで抱いてやった。

(おわり)


拍手ありがとうございます。
三人の人間いたら、それぞれ違う視点で違うことを思う、という気持ちで書きました。
三人のうち、翼くんが書きにくかった。直感的文章は向いていないと実感しました。

Jr.ユースの時点で若林くんと岬くんが付き合っていたら、という話ですが、この設定でもう一度くらい書きたいものです。いや、一度といわず・・・。


今年も一年お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
良いお年をお過ごし下さい。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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