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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
三人(10)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 ドアがコツ、コツと音を立てた。ノックに応えて、ドアの向こうに声をかける。
「誰だ?」
「僕」
岬の声にすぐに身を起こし、ドアを開けた。
「Willkommen!」
こんな夜に来てくれるとは思っていなかったので、熱烈に歓迎した俺に、岬は困った顔をしてみせた。
「若林くん、泊めて」

 事情を聞き出して、ため息が出た。迫って来た翼に、岬がたまらず逃げて来たらしい。
「岬、いざという時は泊めるから、その前に翼と話をさせろ」
岬は頷き、二人の部屋に戻った。

 岬に殴られたのか、翼は赤くなった頬を押さえていた。
「とりあえず、冷やした方が良いな」
濡らしたタオルを渡した後、岬のベッドに腰掛ける。翼は俺の隣に座った岬を一瞥して、それから下を向いた。
「若林くんは良いよね。俺には岬くんだけなのに」
翼の孤独さは、遠征に来てすぐに分かった。合宿に加わった岬に纏わり付く様子からも見て取れた。
「確かにお前は大切な友達だが、岬を譲る気はない」
翼にも、岬にもはっきり聞こえるように言い、岬の肩を抱く。
 たかが恋愛なんて思っていたことが嘘のように、岬の存在は俺の心をかき乱し、翼の話に冷静さを失いそうになる。
「翼くんごめん、僕も若林くんが好き」
岬の膝が震えているように見えて、手を伸ばした。岬は目を伏せてはいたが、はっきりと言った。

「・・・知ってた。岬くんも三年前からだよね」
翼の言葉に、岬がみるみる赤面していく。膝に乗せた俺の手をぎゅっと握り、岬は顔を上げた。
「うん、気付くのは遅かったけど。翼くんは全部分かってたんだね」
岬の顔も声も優しかったが、それ以上は踏み込ませない強さがあった。
「今日は若林くんの部屋に泊まるね」
うなだれた翼に、岬が声をかける。
「岬くん、一つ教えて」
通り過ぎようとした岬の手を掴み、翼は尋ねる。岬が頷くのを待つことなく、翼が口を開く。
「もし、俺の方が先に告白してたら、俺のことを好きになった?」
岬は一瞬立ち止まったものの、すぐに考えはまとまったらしい。
「ううん。翼くんとは分かり合え過ぎるから、今ぐらいの距離の方が良いと思う」
ベッドサイドにひざまずき、翼に語りかける岬に、俺の不安も解消していくようだった。
「でも、サッカーのコンビの座は誰にも譲る気はないけどね」
微笑む岬は、俺じゃなくても見惚れただろう。翼も顔を上げ、眩しそうな顔で頷いた。

(つづく)


拍手ありがとうございます。
私は黄金コンビはそれなりに好きです。お互いに尊重している限りは。
ワールドユース編で黄金コンビ大安売りをされてからは、複雑な思いがあり、いつかこの台詞を使ってやろうと思っていました。


以下、拍手のお礼:
SNOW様、いつもありがとうございます。
おかげさまで風邪はマシになりました。

私も源岬←翼は大好物です。ただ翼くんはなかなか難しくて、動かしにくい。そんな「三人」へのコメント嬉しかったです。ありがとうございました。

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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