※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 三年前から、ううん多分初めて会った時から、俺は岬くんのことが好きだった。 南葛に引っ越すまで、俺には友達がいなかった。たまに話はしても、一緒にいて楽しいと思ったことはなかった。 南葛に引っ越してから、石崎くん達に出会った。サッカーが好きで、俺のことをすごいと言ってくれる初めての友達だった。 次に若林くんに会った。見るからにすごいキーパーで、ロベルトと会った時くらい感動した。若林くんとサッカーをするのはすごく楽しくて、ますますサッカーが好きになった。俺は一人っ子だけど、お兄さん、というのはこんな感じなのかな、と思わせる雰囲気と風格を若林くんは持っていた。 それから岬くんに会った。可愛くて、俺の気持ちを、自然に分かってくれる優しい岬くんに、俺は夢中になった。岬くんがいれば、もう独りだと思わなくてもいい。
岬くんのいた季節は、俺にとって特別の時間だった。毎日サッカーをして、お祭りにも行った。
神社の参道は人だらけだった。 「岬くん、手つなご!」 「う、うん」 ちょっと恥ずかしがって、困ったみたいに岬くんは頷く。差し出された手も真っ白で、ドキドキしながら手をつなごうとする。一緒に行ったSCのみんなが笑っている中、一人だけは笑ってはいなかった。 「翼、岬が困ってるだろ」 「確かにちょっと恥ずかしいかな」 若林くんの言葉に、岬くんも笑いながら手を引っ込めてしまう。 「岬もはっきり言えよ」 笑いながら、若林くんが岬くんを見た。二人の視線が絡んだのを見て、何だか嫌な予感がした。
その予感は三年後に当たった。いつのまにかフランスに渡っていた岬くんが訪ねて来た、とドイツの若林くんからの手紙がついた。 二人で並んだ写真に、あの時と同じ空気があった。今にも手をつなぎそうな若林くんに、岬くんは少しだけ嬉しそうに微笑んでいる。
ずっと岬くんを見ていた俺だからすぐ分かった。俺の隣に視線を向ける相手。俺から岬くんを盗ろうとする敵。
写真はまるで若林くんの勝利宣言のように見えた。
「俺と若林くんと、三年前から岬くんのことが好きだったんだよ」 とっておきのの切り札だった言葉に、岬くんはにこにこ微笑んでみせる。 「ありがとう。僕も好きだよ」 あっさり答えると、岬くんは横になった。相変わらず、俺には隙なんて見せない。 天井を向いている横顔は、うっとりするほどきれいだ。三年たった岬くんはますますきれいになっていて、気持ちは落ち着かない。 「岬くん、やっぱり俺岬くんのこと・・・」 隣のベッドに駆け寄って、腕を取った。岬くんは押さえ付けようとしたのが分かったのか、もがいた。 「翼くん、放してよ」 見上げて来る岬くんの目は、いっそう茶色くなっているみたいに見えた。瞳に俺の影を映したまま揺れる。こんな時なのに、見とれるくらいきれいだと思った。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 最近買ったサッカーマンガが結構面白いです。サッカーマンガはわりと好きで読むのですが、好みがどうも 非正統派>正統派。 やっぱり、スタート地点がキャプテン翼だからかしら??
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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