※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 そう多くはないつもりだったけど、思ったよりも荷物はあって、運んでくれた若林くんには申し訳なかった。 「これくらい手伝わせろよ」 若林くんはにこにこ笑い、当然のように持ってくれた。 こんな風に笑いかけられた位でドキドキしてしまうほど、僕はこの人が好きなんだと思う。
小学生時代、南葛SCのみんなから、寄せ書きをもらった。また会おうとかそういう呼びかけが多い中、若林くんの書いた言葉は「俺も旅立つ」だった。抽象的な謎の台詞の意味が解けたのは、三年後だった。雑誌記事で見つけた若林くんに、すぐに会いたくなった。
僕にとって「旅立つ」のは日常茶飯事だけど、若林くんには違った。決意の意味を込めて書かれた言葉、は僕に対するものではない。それだけの決意で旅立った若林くんがどう変わっているのか、知りたいと思った。
ドイツまで訪ねた若林くんは、確かに変わっていた。出た頭をよっぽど叩かれたのか、ますます強く懐が広くなっていた。 「若林くん、けっこう苦労した?」 「ああ、そうかもな。岬はすごいなって何度も思ったぞ」 笑った若林くんと目が合って、先に逸らしたのは僕の方だった。 「でも、もう大丈夫そうだね」 南葛にいる時しかり、若林くんは大きな木のように深く根差す印象がある。もうここには若林くんの居場所がある。 「ああ。何とかな。岬の方こそ、そんなに気にしてくれてるとは思わなかったぜ」 最初の好奇心は消え失せてた。好奇心ではなく、関心だと気付かされて、みるみる顔が赤くなる。
チームの中で、同じものを見ていた。同じものをたった二人共有して、互いに仲間だと分かっていた。 会いに行くのに、理由をつけたかった。でも、それはこじつけに過ぎなかった。単に会いたくて、我慢できなくなっただけだった。 僕は案外他愛のない、可愛い奴だったらしい。 若林くんといて、気付いた。そして、そんな自分を少しだけ好きになった。
翼くんとも再会して、昔感じた不思議な感覚が蘇るの驚いた。僕達は左足と右足のように、一つのことを一緒に処理することができた。 「岬くんはやっぱりすごいよ!」 飛び付いて来る翼くんをいつものように受け止める。 「ありがとう、翼くん」 でも、翼くん、僕は素直に受け止められない。
翼くんと会って、分かった。 翼くんは僕のすべてを分かってくれるけど、全部自分の感覚で処理する。
若林くんは僕のことを全然分かってないけど、全部受け止めてくれる。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 今日は最後の一文が書きたかった。うまく表現できてるかはともかく。
以下、拍手お礼:
あまね様、コメントありがとうございます。お願いひとつと思ってしまう岬くん、は自分でもポイントだったので、そう言ってもらえて嬉しいです♪お見舞いの言葉もありがとうございました。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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