※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「あ、そうだ。これ持って帰れよ」 若林くんが投げてよこしたのは、トレードマークみたいになっているキャップ。 「いいよ。あまりかぶらないし」 僕には帽子をかぶる習慣はない。特にキャップは。夏の暑い日は麦わら帽子を着用、というのは父さんの言いつけの一つだけど。 「公式キャップ変わったから、使うなって言われてな。どうせなら、岬に持っていてほしいし」 言いながら、若林くんは帰国用に荷物を詰めた僕のトランクの上に、帽子を載せてしまう。
この帽子は見慣れている。僕がフランスで再会してから、しばらく若林くんの頭にのっていた帽子だ。 「一応、物は良いんだぞ。それに・・・」 言いかけた若林くんに、ストップをかける。訳もなく物をもらうのは好きじゃない。でも、これは若林くんが一緒に戦って来た大事な相棒だ。それに。 「じゃあもらっておくね。お守りに。君日本では負け知らずだったよね」 正確には翼くん以外には。僕も負かしたことはない。だから、これはお守りなんかじゃない。いつか君と戦う為の、道標。 「はは、どうぞお持ち帰り下さい」 ふざけて笑う若林くんの手から、キャップを受け取った。
それから、その帽子はサッカー部のロッカーにしまっている。家に置くのは何だか気恥ずかしい。 それに、やっぱりお守りなのだとも思う。チームのことで、若林くんがいてくれたら、なんて思うことがある。そんな時にロッカーを開け、そこに置かれた帽子を見ると、負けてはいられないという気持ちになる。 生まれてからずっと南葛にいた若林くんは違う土地に居場所を見つけた。そして、今まで一つの場所にいたことのない僕が、南葛に留まっている。僕の居場所はここなんだから、ここで勝ち取っていく。 「負けないから」 ユニフォームに着替え、ロッカーに鞄を入れてドアを閉め、心の中で呟いた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 昨日は井沢くんをひどい目に合わせたのですが、その時の帽子エピソードを掘り下げたくなって書きました。可愛くない・・・。
以下、拍手お礼: なお様、いつもありがとうございます。 なお様が大人な井沢くんを載せておられる時に、笑いに走っておりましたf^_^; なお様のコメントはいつも深いので、今回も色々考えさせられました。(でも萌えポイントをきちんと拾って下さるのも素敵) 大事な帽子、というキーワードにやられ、何か書きたくなって・・・どうしてこうなった(泣) 若島津くんも突っ込んで下さって嬉しいです♪ありがとうございました。
個人的には、井沢くんは悩むのがさまになる人だと思っています。見苦しくもなく、悩んではいるけれど、自分の中で答えを持っている。ちなみに、岬くんは悩んでも見せない人なので、周囲がかえって心配になり、若林くんは悩んでいても見えない人、と思っています。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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