※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 井沢は必死だった。見つかったら何をされるか。
いや、プレゼントを渡されるだけなのだが。
「井沢、どうしたの?」 声をかけた岬の口を塞いで、部室の隅に隠れる。 「岬は誕生日が休みで良いよな」 はああ、とため息をつく井沢に、岬の後ろから覗き込んでいた森崎も頷く。
サッカー部の井沢は、顔よし頭よし性格よしで南葛高校でも抜群の女子人気を誇っていた。いつもはうまく女性陣をあしらうことに定評のある彼であるが、今の精神状態でそれを要求されるのは、酷というものだろう。 「毎回すごいもんな」 森崎が同情的に呟く。石崎やら、浦辺は羨ましがるが、いくら可愛くてもあの大群に囲まれるのは勘弁願いたい。 「気持ちは分かるけど」 ユニフォームに着替え終わった岬がロッカーに手をつく。サッカー部室では見つかりはしないだろうが、このまま隠れていては練習できない。 「俺の陰に隠れていくか?」 高杉も気を遣うが、このメンバーで動くだけで自殺行為だろう。岬は自分が認識しているより、遥かに有名人である。 「見つかったら・・・」 不安そうな井沢に、岬が自分のロッカーから帽子を出した。 「井沢。髪縛って隠す。それで、森崎くんとユニフォーム交換」 「えっ!?」 声を揃えた二人に、岬が鋭い口調とはうって変わった笑顔を向ける。 「今日が何日か、二人とも分かっているよね」 高校サッカー選手権は年末から始まる。あと、10日。岬が笑顔でいる内に、二人は着替えを終えた。身長はそう変わらないので、確かに無理はないが、ポジションが大きく異なる。ユニフォーム自体違う。落ち着かない二人に、岬は静かに言った。 「井沢は今日はGKね。シュートにも対応してもらうよ。森崎くんはDFで、どう指示出されたら動きやすいか、考えて」 井沢は、ふと自分の被らされた帽子を見た。 自分にも少し大きい帽子は、おそらくあの人のもの。それをこっそりロッカーに入れていた岬は、何だか可愛いし、こういう類いの練習は修哲時代にもやったことがある。 フィールドは狭いか、広いか、ポジションと動き方によって、その答えは変わる。
「分かった。やろうぜ、森崎」 「ああ」 井沢は借り物の帽子を被り直した。
休憩のホイッスルを鳴らした途端、ダッシュして来た選手の正体に気づいて、マネージャーの早苗は目を丸くした。 「井沢くん!?」 井沢がGKの格好をしているだけでなく、余裕がないのが珍しかった。 「暑い~っ」 紅白戦の時に、岬が散々攻めてきて、井沢はとても忙しかった。そして、くくってあるとはいえ、長い髪は時々邪魔をしてくれた。普段走るのとは大違いだ。 「・・・若島津、尊敬するぜ」 呟いた井沢が若島津に誕生日プレゼントの髪ゴムを贈り、東邦メンバーを混乱に陥れるのはまだ先のことである。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 井沢くん、若島津くん、お誕生日おめでとうございます。 お誕生日にいじめてごめんね。女子に囲まれそうになって逃げ隠れする井沢くん、が書きたくて。
そしてさりげなく源岬。
以下、拍手お礼。
あまね様、いつもありがとうございます。 リクエストの件了解いたしました。確かに、それは素敵な言葉ですね。それをふまえて少し考えますので、しばらくおまち下さい。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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