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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
三人(4)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。


 風呂を使ってから、俺は一人部屋を出て、同じフロアーの翼達の部屋に向かった。翼には本当のところは打ち明けてあったし、問題はない。
 ノックをすると、顔を出したのは翼の方だった。
「若林くん、どうしたの?」
「3人揃ったから、歓迎会しようかと思ってな」
部屋の奥を覗き込むと、岬の姿はなかった。
「岬くんお風呂だよ。一緒に入ろうって行ったら怒られた」
「そりゃそうだ」
そのままどっかり座り込む。岬は翼と同室ということになった。まあ、順当だろうが、それを聞いた時に、岬がふとこちらを見たのが気になった。

「翼くん、お先に・・・あれ、若林くん、来てたの?」
「ああ。歓迎会な」
髪を拭きながら出て来た岬に、思わず見惚れる。しっとりしたばら色の頬に、柔らかい髪が雫をまとってかかる。うっすら桃色に色づいた肌は、甘そうに見えた。久しぶりだからかも知れないが、やっぱりきれいだと思った。
「ありがとう」
岬は翼と俺のちょうど真ん中に座った。そして、俺の差し出すグラスを手に取る。
「あ、それおいしそう」
「だろ?冷蔵庫で冷やして来た」
岬の好きなフルーツのジュースをグラスに注ぐ。岬はそれを手に取ると、俺が翼にグラスを渡すのを待つ。
「乾杯しようぜ」
「うん」
グラスが鳴る。岬はジュースを一気に飲み干し、俺にグラスを差し出した。
「お代わり」
「はいはい」
どうやらお気に召したらしい。なみなみと注いで、岬に返す。
「翼はお代わりは?」
振り返ると、翼は見たことのない顔をしていた。
「岬くんと若林くんって仲良いんだね」
翼の声は震えているようだった。それで分かった。翼は岬のことが好きらしい。俺と同じように。
「そうか?翼とは文通してたけど、岬と再会したのは最近だし」
「そうだよね」
岬は驚いたのか、瞬きを繰り返している。俺も意外だった。確かに翼は岬には執着しているように見えたが、そこまで言うとは思わなかった。
「俺には手紙もくれなかったのに、若林くんには会いに行ったんだね」
翼の声は聞いたこともないくらい暗くて、岬は困ったように俺を見上げ、俺は腕を組み直す。
「そりゃ、近いからだろ」
仕方なく、思ってもいないことを口にする。俺はむしろ暴露して、岬は俺の恋人だと言いたい気分だったが、岬は嫌がるに決まっている。でも、岬が会いに来たのは、決して近いからだけじゃない。
「でも、岬くんは若林くんには甘えるじゃないか」
青い顔をして、翼は岬の手を掴んだ。確かに、さっき話していた岬は、俺と二人でいる時の態度だった。おそらく、今日の緊張の反動だと思ったが、そうは気にしていなかった。
「そりゃ、友達だもの。翼くんにもお風呂譲ってもらったよね?」
にこやかに言う岬には、誰も反論できまい。黙った翼に、岬はタオルを投げてよこす。
「お風呂、冷めないうちにどうぞ」
岬は静かにグラスを傾けた。風呂上がりで上気した雰囲気は抜けて、まるで、グラウンドで見る時のような感じだ。
「何なら、若林くんと入って来る?友達同士なんだし」
おとなしい口調で、冷たく言い放つ岬に、翼は首を振った。

 翼がバスルームに消え、シャワーの音がするようになってから、岬は俺の方に少しだけ近づき、手を重ねた。
「近づくな、って言われてたのがよく分かった」
たったそれだけの言葉で、俺を案じてくれる岬の気持ちが伝わった。
 重ねられた手をたどって、岬を抱き込みたい気持ちもあったが、翼のこともあって、俺は重なった手を握っただけだった。
「若林くん、僕明日荷物を取りに帰るんだけど、ついて来てもらえる?」
「ああ、もちろん」
岬からの誘いを断る訳がない。二人になれる機会ならなおさら。
「じゃあ明日頼むね」
「おう、任せとけ」
言い合っている内に、バスルームのドアの開く音がした。

(つづく)


拍手ありがとうございます。
Jr.ユース大会の時に秘密を共有する二人、という設定がたまらなく好きです。書くのも何回目やら。

キリ番85000、全然気付いてませんでした・・・。あまね様ありがとうございます。ご期待にそえるかはわかりませんが、是非リクエストして下さい。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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