※二次創作です。女性向表現含みます。苦手な方はご注意下さい。
昨日の続きのような、先週の続きのような。 「松山、ごめんね」 朝の喧騒の後、準備体操をしていると、岬が謝りに来た。同じ学校の仲間同士でつるむ連中が多い中、岬が入ってからはよく一緒に体操をしている。 「ああ。岬のせいじゃないだろ」 岬に謝られるとこっちも責めにくい。それに加えて、若林でなく岬が謝ってくること自体、さっきの話の信憑性を高めるようで、俺はそれ以上何も言えなくなった。 「うん。ありがとう。柔軟しよう」 俺が地面に座ると、岬が背中を押してくれた。 「松山、相変わらず硬いね」 言いながらも、岬は徐々に力を入れて押してくれる。これが早田なら、 「こんなん、一気にしてしもた方が楽やって」 と全体重を乗せて押してくるところだ。その早田は次藤を押している。体格的に、佐野が新田と組むようになり、うまくいっているようだ。 「はい、交代」 岬が地面に座った。ほっそりした背中には筋肉はあるのに、岬は骨が細いのか、ごつごつした感じはない。背中を押しながら、つい今朝の雑誌のことを思い出した。すごくかわいい男と。うつむいた細い首やうなじに目がいきそうになって、俺は慌てて目をそらした。 「松山、押してよ」 「岬は柔らかいから良いじゃないか」 勢いでごまかした俺に、立ち上がった岬が手を出した。 「ほら。背中向けて」 背中合わせに腕を組み、交代で相手を持ち上げる。 背中が密着しているのも困るが、何か、さっきから切れ長の目で凝視している奴がいるんだが。今朝の言葉を思い出す。俺の、ってそういう意味、だよな? 「岬」 「ん?何?」 俺を持ち上げている岬に呼びかけると、岬は呼吸を乱さずに返事をした。一人でストレッチするのとは違い、こういう準備体操はみんな楽しいらしい。練習を始める頃にはなごむ、と三杉が取り入れているくらいだ。 「若林の言っていたのって本当か?」 交代してすぐ切り出した。岬は小さく息を呑んだ。 「松山、そんなに急に持ち上げたらびっくりするよ」 その言い方が何とも岬らしくて、俺はそれ以上は聞けなくなる。岬のことを好きだとか、意識したとかが全くなかったわけではない。岬は可愛いし、優しいし、一緒にいると嬉しい。 「悪い、すまなかったな」 「ううん。こっちこそごめん」 少し赤くなった岬に、何だか自分までドキドキしてきた。白くて滑らかな肌に、柔らかく動く手足に、あいつは触れたんだろうか。 きっと本当なんだろうと思う。俺だって岬のことは好きだが、あんな風になりふり構わず、にはなれそうもない。今朝、ドアを蹴破った若林は必死の形相で、それはそれでかっこよかった。そして、岬が他の奴にあんな蹴りを入れるところを見たことがない。蹲っている若林の手を引いて、部屋まで連れ帰ったのは真っ赤な顔をした岬だった。
思い出すとなんとなくほほえましい。二人が好きなら良いんじゃないか。応援してやりたい気持ちになった俺を若林が追い越していった。 「岬にそれ以上近づくなよ」 通り過ぎざまに凶悪なことを言う若林がその気持ちをだいなしにした。
くそっ、絶対に邪魔してやるっ!
(おわり)
「北風と太陽」の松山くんに「よくある風景」の直後を実況させてみました。 太陽にマントを脱がされた旅人、です。 中途半端ですが、この話はこれで。 太陽には弱いが北風には逆らう松山くんでした。
拍手お礼: 今井様、名指ししてすみません。反応ありがとうございました。 本当にジュニアユース編は萌えの宝庫ですよね。
M様、すごく嬉しいお言葉をありがとうございます。 ジュニアユース編、辛かっただろう若林くんが少しでも心が休まれば、 と妄想補完したものですので、愛しかありませんが、気に入って頂けたら ありがたいです。これからも質より量の更新で頑張ります。
拍手のみの方もありがとうございました。 来月には拍手分の更新もしたいです。
from past log<2008.11.28>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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