※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
xxx-titlesさまよりお題をお借りしています。 お題一覧はこちら
ある日の出会いは、僕から大事なものを奪い、大事なものをくれた。
リハビリの甲斐があって、ずいぶん自由に体を操れるようになった頃、先生が言った。
「これじゃあ、僕達の立場がないよ」
思ってもない褒め言葉に、嬉しくなるのをこらえ切れない。でも、これはスタートに過ぎないのだと自分に言い聞かせた。
再起は不可能だと言われていた。ワールドユース大会の後、お見舞いに来たみんなに謝られて、僕はみんなを追い返した。
「俺達がもっと頑張っていれば」
「すまない」
「ごめん」
僕が足を捨てたのだと言わんばかりの様子に、気遣われていると分かっていても、やり切れなかった。
だって、病室を区切るパーテーションの向こうで、美子が泣いている。
誰かが口にして軽くなった分の重荷は、美子が背負っている。
だから、無理だと決めつけないで。
確かに選手生命は削られたかも知れない。でも、かえってその時間を大切に使おうと思えた。
他のことは考えずにサッカーに集中することで、今まで雑念が多かったのだと気付いた。
どこかでのんびり構えていた。プライドが高いのに、自信がなくて、二の足を踏んでいた。
今の僕には、家族ではないけれど、母がいてくれる。泣いてばかりだけど、妹がいる。
わだかまりが全くないとは言えないけれど、僕だけを見ている誰かに見守られて走るのが、こんなに幸せだと思わなかった。
こんなに誇らしいとは思わなかった。
だから、せめて僕だけでも、今の僕を愛そう。
彼には分かってもらえないかも知れない。
ある意味僕自身よりも僕を大切に思ってくれている人には。
仙台の家の前まで送ってくれても、絶対に顔を合わせようとしない頑なな態度に、僕の捨てた気持ちまで大事にしてくれる優しさを感じる。
でも、いつか僕が心から許せるようになったら、紹介するつもりでいる。
僕はちゃんと幸せで、今日も元気に生きています。
(おわり)
拍手ありがとうございます。
いつか向き合わないといけないテーマです。このお題を見た瞬間に決めていました。
そして、これでようやくお題消化です！長かった・・・。(いや、自分の責任ですが)
お付き合いいただき、ありがとうございました。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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