※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「若林くん、アドベントカレンダーってしたことある?」 岬の問い掛けに、若林は考えるまでもなく返事をする。 用事で急な帰国だったとはいえ、岬ときたら、何やら忙しそうで気に喰わない。 「ないぞ」 問い質してみた甲斐あって、岬の作業の意味が理解できた。アドベントカレンダーはヨーロッパの子供達がクリスマスまでの日をカウントダウンするカレンダーで、日付ごとに細かく区切られていて、それぞれの日のスペースに、お菓子などの小物を入れるものだ。 若林は岬の手元を覗き込む。なかなか頑丈そうな箱の前には、キャンディやチョコレートが置かれていて、交換用だと一見して分かった。 「俺にはくれたことないよな」 ただでさえ忙しいのに、図々しくねだる若林を、岬は困り顔で見上げる。何でも持っている若林相手では、プレゼント一つもなかなか勇気がいる。 「じゃあ、うちのチームの背番号カレンダーで良い?」 「11しか開けずに放置するけど良いか?」 テキトー過ぎる思いつきに、若林はまたもや即答する。11日目で楽しみの終わるアドベントカレンダーなんて、聞いたことがない。 「じゃあ、俺からプレゼントさせてくれ」 「・・・それも気が進まない」
そう言いつつも、1日に日本から送られて来た箱に、若林はつい顔をほころばせる。半ば一方的な約束だったのに、岬は約束通り送ってくれた。 「全部手作りなんだから、感謝してね」 「毎日一つずつ、開けること!」 付いている手紙にも岬らしさがあって、若林は口許に笑みを浮かべる。1月に大会があるから、12月の岬は本当に冷たい。気を遣わせたとは思っても喜ばずにはいられない。
若林にとって、岬自体はびっくり箱のようだ。何が飛び出るか分からないのに、開けてしまいたくなる存在だ。 そして、開けて後悔したことはない。このアドベントカレンダーのように、もっと知りたい気持ちは募る。
6日も11時をまわり、若林はカレンダーの前に立つ。時計が0時を刻む瞬間に開けるつもりで、今年は友達のパーティーも時間をずらしてあった。
3・2・1。
心の中でカウントダウンを刻み、若林は箱を開けた。いつものお菓子の代わりに、入っていたのは手紙だった。 若林はもどかしげに手紙を開け、目を通す。
お誕生日おめでとう。 君のお誕生日が来る度に、不思議な気持ちになります。 全然違う場所で、君と僕は生まれて、出会いました。サッカーをやっていなければ、会うこともなかったかも知れません。 だから、僕にとって、12月7日は感謝の日です。ねえ、若林くん。生まれて来てくれて、ありがとう。今年も良い年でありますように。
几帳面な字が水色の便箋を埋めている。普段、手紙を書きたがらない岬なのに、と若林は微笑む。
しかし、頑張って用意してくれたと知っていても、これはプレゼントとしては、失敗かも知れない、と若林は思った。カレンダーの残りよりも、岬に会いたくなる。
もう一度会いに行ったら怒られそうだな。
緩む顔を押さえられないまま、慣れた電話番号をたどる若林だった。
(おわり)
若林くん、お誕生日おめでとうございます!! 岬くんから祝って欲しかったので、こんなことを考えました。
今年も二人幸せにね♪
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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