※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 旧拍手文です。 5
「ナポレオン、PSGにようこそ」 ナポレオンの馴染みの店に現れたピエールに、ナポレオンはずかずかと近づいた。 「お前、こんな場末に来るなって何度言えば・・・」 ピエールは有名人である。パリでも評判の良くないこの界隈に来たが最後、ひどい目に遭いかねないとナポレオンは何度忠告したか分からない。 「君の友達に案内してもらった」 ピエールの隣に顔馴染みを発見して、ナポレオンも安堵の息をつく。確かに、それなら問題ない。 「一杯奢る約束だったから。二人に」 ミサキが日本に帰るらしい、という情報をキャッチしてきたのは、草サッカー仲間のその男の方だった。ナポレオンはそれを確認し、ピエールに流した。 「おかげで、うちのチームは優秀なFWとMFを獲得できた」 好きな物を頼め、と言われたものの、ナポレオンが考えている内に、ピエールはさっさと出身地ボルドーのワインを注文してしまった。 「今年の出来は最高だぞ」 「そうかよ」 相変わらず、いまいち噛み合わないやりとりであるが、乾杯してみると、ピエールが勧めるのも頷けた。これは確かに、美酒だ。 「まあ、今回は俺にも利益があるからな」 「利益?」 「ああ。お前とミサキ、俺に最高のパスをくれたのはその二人だからな」 ナポレオンは、そうマメな選手ではない。試合全般を作り上げるというよりは、最高のポジションで最高のシュートを放つ、切り札のようなFWでありたいと思っている。大砲と名付けた彼のシュートを活かすパスを出したのは、その二人だった。 「それは光栄だな」 ピエールは微笑み、それからもう一杯グラスを空けた。 「ナポレオン、俺には未来が見えるんだよ」 「へえ、どんな?」 極上のボルドーワインは、二人の舌を軽くさせていた。杯を傾け、ナポレオンが続きを促す。 ピエールは、なみなみとワインを満たしたグラスを覗き込んだ。 「君とミサキと俺で、クラブチャンピオンズリーグに臨んでいる姿が見えるよ」 「それは未来じゃなくて、願望だろ」 笑い飛ばしながら、ナポレオンは、そのグラスの中身を半分自分のグラスに移した。 ニヤリ、と口元を歪める。 「でも、実現しようぜ。乾杯!」 「乾杯!」
パリの夜は更けていった。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 今、携帯の待受が、開ける度に変わる山の風景。気に入って設定したのですが、友人に渋いと言われて我に返る。・・・岬父かよ。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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