※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 畳で寝転がる。落ち着く。
岬はまだ帰って来そうもない。とりあえず、預かっていた合い鍵で部屋に入ったものの、持ち主のいない状態で動きまわるのも性には合わない。 それにしても、相変わらず、すっきりした部屋だ。 「何もないだけだよ」 岬は言うが、それだけ執着せずにいられるのは、岬らしい。物が少ない分清潔な部屋は、畳に日が当たり、懐かしい匂いがした。
岬には失礼して、畳に寝転ぶ。 思えば、実家ではそんなことをしたことはなかった。和室は数室あったが、祖父母の部屋や茶室や・・・およそ、気軽に寝転がるとは程遠い。
岬の側だと、楽だ。 気を遣わない訳ではないが、気を張る必要はない。守ることも守られることもなく、ただ一緒にいるのがどんなに楽なのか、岬といるようになるまで分からなかった。
特別に意識もせずに、隣にいてくれたのは岬が初めてだった。近くにいてほしいと思った相手も。元々、良くも悪しくも意識される存在だったが、気がつけば、岬が自然に隣にいてくれた。 それが嬉しくて、どんどん特別になっていた。
「ただいま」 いつのまにか眠ってしまっていたらしい。目が覚めると岬が目の前に座っていた。 「あ、おかえり」 いつのまにか、上着がかけてあり、ほのかに暖かい。 「寒くない?」 「寂しい」 腕を引いて、横に寝るように畳を叩く。岬は困ったように微笑む。 「ちょっとだけだよ」 伸ばした腕に、岬が軽く頭を乗せる。そのまま腕を引き、抱き込むと岬は意地悪く口元を歪める。 「ゆっくりしてたら、君のご飯なくなるよ」 「じゃあ、飯食ってからなら、異存はないな」 「・・・君って本当に駄々っ子だね」 身を起こした岬が、俺の頭をぽんぽん、と触れる。他愛のないことなのに、何だか安心した。懐かしい場所に帰ったような。 「岬」 「なに?」 見下ろしている岬の目は優しい。 「やっぱり、好きだなと思って」 「っもう、何言ってるのさ」 くすぐったいような顔で目を細め、少し困っている岬に、またそう思った。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 本当に他愛ない話ですが、くつろぐ若林くんを書きたかったのです。 私もゆっくりしよう。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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