※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 最終回。 5
どんな形でも。ずっと。若林くんの言葉が頭に響く。栓をしたはずの心に沁みる。まるで、奥底に仕舞った恋心をえぐるように。 「君はそれで良いの?」 虫が良すぎる、と責めるはずだった。でも、若林くんが僕の知らない僕の本心を悟っていたのなら、今更責めても仕方がない。 「ああ。悪いが諦められない」 目と目が合った。合わせていられなくなった。たまらなくなって目を逸らし、テーブルに視線を落とす。 「じゃあ、もし僕が許したら、どうする?」 怒りに任せて動く、そんな単純なことが出来たらどんなに良かっただろう。失望はないのに、絶望はある。
こんなに好きなのに、信じ切れなくて、僕は君も僕自身も裏切っている。 「そうだな・・・もう一度最初から口説くな。お前がもう嫌がらないようになるまで」 もう君を責められない。僕は君が好きで、おそらく君の想いよりも強い。
「・・・分かった。一発殴らせて。それで許す」 若林くんは、一瞬唖然としたものの、勢いよく立ち上がった。 「本当にそれで良いんだな」 「うん。良いよ。目つぶって」 妙に嬉しそうな若林くんの真っ正面に立ち、頬に右手を添わせる。それから、手を振り上げ、もう一度頬に当てた。そのままキスしようとした瞬間、まともに視線がぶつかった。 瞬き一つせずに僕の動作を見つめていた若林くんは、頬に唇を当てようとした僕を、そのまま抱きしめた。 合わさった唇をこじ開けて、大きな舌が侵入する。すっかり反った背中にあてがわれた腕は、さっさと僕を抱き上げてしまう。 「好きだ」 耳元に囁かれた時、胸につかえたままの氷が溶けてなくなったような気持ちになった。 肩に入っていた力も抜けて、すごく楽になる。
・・・認めてしまえば簡単なことだった。
「・・・分かった」 困ったことに、僕は若林くんが好きで、どんな形でも一緒にいたい。 「でも、あんなのはやめてね」 抱き合ったまま、動けない。寄り添ったまま、告げる。若林くんは僕の身体にまわした手に力を入れる。まだ痛むのもあるけれど、どうしてだろう、強く抱きしめられて、胸が熱い。 「本当にすまない」 謝っているくせに、その声は明るい。
言ったら、調子に乗るかな? それくらいのペナルティは受け入れて貰うことにして、包み込んでくれる胸にもたれた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 何とか終わりました。 ぶん殴ってもらおうという気もありましたが、岬くんは殴れないだろうと思ったのでこの結末に。 こういうのが許されるのは源岬だからだと個人的には思っています。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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