※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 続きです。 4
次の朝、腕の中のミサキがモゾモゾ動いたところで目が覚めた。 「な、何?」 驚いた様子で問い質される。そりゃ、その前には少し襲ったりもしたから、ミサキも思うところはあるだろうが。 「お前がうなされてたからな」 俺の言葉に、ミサキはため息をついた。 「そう・・・ありがとう」 自分でも自覚はしているらしい。意外だという反応もなく、ミサキは俺を見返す。 傷一つない顔で、澄んだ目で、どんな地獄を見たのだろう。表情を変えることなく、いざという時は俺達を庇うと言ったミサキ。 「良いぜ。むしろ役得だしな」 額に汗を浮かべ、苦悶の表情のミサキは本当に悩ましかった。ツバサがいたとはいえ、あんな色っぽい姿のミサキを一晩中抱きしめていた俺の理性は褒めたたえられても良いぐらいだ。 「な、何言って・・・」 慌てた様子のミサキの隣に座る。ミサキはもう震えてはおらず、穏やかな顔で、俺を見上げた。 「俺は連れに大怪我をさせたことがあってな」 ミサキが息を飲んだ。俺の故郷では誰もが知っている話だ。昔、見習いを連れて行ったものの、目を放したすきに、毒にやられた。何とか助かったものの、生きた心地がしなかった。モリサキにはさっさと見切りをつけさせ、今では職人をしながら、自警団に入っている。 そして、俺は師匠やツバサ以外とは組むことはなくなった。 「父さんのこと、聞いたんだね」 「ああ」 ミサキは静かに微笑んだ。その笑顔だけで、ミサキの憂いが伝わる気がした。 「父さんは、僕が殺したようなものだ」 きれいな笑顔なのに、痛々しいと思って、気付いたら抱きしめていた。 「俺は死なないからな」 囁いた俺に、ミサキが首を傾けて来た。
(つづく)
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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