※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 続きです。 3
夜になった。今日は近くに人家もないため、野宿しかない。 こういう時には、たいてい俺が不寝番を引き受けることにしている。たき火を囲むように眠る二人は、とても幼く見える。実力があるのはよく知っているが、それでも守りたい二人だった。 昔からの仲間のツバサと、新しい仲間のミサキ・・・段々と惹かれていく自分に気付く。戦いにそぐわない優しげな外見と、戦いに慣れた心。そのアンバランスさに、見ているだけで、心がかき乱される。
目の前で、ミサキが呻いた。うなされているらしく、辛そうな表情に、見ていられなくなって、抱きしめる。 「父・・さ・・・ん」 確かにそう聞こえた。長い睫毛には涙が絡まり、細い肩は震えている。 「大丈夫だ、大丈夫だから」 言い聞かせるように耳元で囁く。胸に押し付けるようにして、横になったところで、ツバサが起き出して来た。 「ミサキくん、またうなされたんだ・・・」 ミサキを起こさないように、首だけで返事する。ツバサは小さく息をついた。 「父さんの話だと、ミサキくんのお父さんはミサキくんの前でモンスターと相撃ちになったらしいよ」 思わず言葉を失う。色を失った、真っ白な顔でミサキは震えている。 「それで、ミサキは?」 「・・・独りで発見されたらしいよ」 何気なく答えるツバサの言葉に、背筋が凍りそうになる。おそらく、身を呈して庇った父親のおかげで、ミサキは助かったものの、心には深い傷が残っているに違いない。 そして、得心がいった。常に余力を残しておくこと、薬草を摘むこと。ミサキの振る舞いの一つ一つが、辛い教訓に裏打ちされていた。 「ワカバヤシくんも寝てよ。その態勢じゃ、いざという時どうにもならないと思うよ」 ツバサの言葉に甘え、そのまま寝ることにする。目尻にたまった涙を拭い、少しでも寝心地が良いように態勢を変える。ミサキの寝息が少し落ち着いたところで、俺も眠りに落ちた。
(つづく)
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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