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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
悪夢(2)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
パラレルの続き。



 ツバサが言った通り、ミサキという奴はなかなかやる。常に彼我の戦力差を考えて、俺達でいけそうだと思ったら、手を貸そうともしない。ある意味、徹底した“プロ”だ。
「あんな奴、どこで拾ってきたんだ!?」
俺の言葉に、ツバサが振り返った。
「父さんの昔の知り合いの息子さんなんだって。すごい旅をしてきたから、実力は折り紙付だって・・・ワカバヤシくん、気になるの?」
ツバサに遠慮も杓子もないのはいつものことだが・・・何だか、気に障った。
「別に。自分の背中を預けるのが、どんな人間か知っておいても損はないだろ」
「ふーん、そう」
ツバサは興味なさそうに、後ろを歩いているミサキを振り返った。
「ミサキくん、それ、何?」
「ん?薬草だよ。こうして摘んでおいたら、いざという時に役に立つから」
ミサキは摘んだ薬草を丁寧に荷物入れにしまったところだった。
「ミサキくんは何でも知ってるんだね」
「そんなこと、ないよ」
言葉少なに答えたミサキの横顔に、何故か胸が痛くなった。静かな笑顔なのに、何故か気になった。
「先を急ごうぜ」
二人に声をかけて、さっさと歩き出す。

「ワカバヤシくん、さっきはありがとう」
食事の支度をしている時に、ミサキが言った。白いきれいな指で、ミサキはハーブを手際よく刻む。
「何のことだ?」
さっきのことだと察した。だが、知らないふりをする。
「ううん、僕の勘違いだよ。ゴメンね、邪魔して」
ミサキは笑顔で頭を下げたが、今、分かった。
「お前」
「何?」
「俺の前で笑うな」
腕を掴んだ拍子に、ミサキの持っていたナイフが下に落ちた。だが、ミサキは俺から目を逸らそうともしなかった。
「分かる?」
今、はっきり分かった。ミサキは俺同様の傷を、心に刻んでいるらしい。
「俺も同じだからな」
ミサキはそれを聞いても、何の反応も見せずに、俺をまっすぐに見上げていた。
「だと思った。余裕がないから」
余裕がないことを指摘されたのは、こちらこそ初めてだった。俺は努めて鷹揚に振舞ってきた。その一方では、二度と後悔しないようにと細心の注意を払ってきたから、余裕がないと気付かれても仕方はなかった。
「僕は大丈夫。いざという時には、君もツバサくんも守ってあげるから」
いざという時、とさらりと口にされた言葉に、背筋に冷たいものが走った。魔法使いのいざという時、を知らない訳ではない。
「そんなこと言うなっ!」
ミサキの手首を捻りあげた。折れそうに、細い手首。折れそうな身体。眩暈がした。
「なに、するのさっ」
肩を掴まれて、さすがのミサキも恐怖心を覚えたらしい。少しずつ退こうとする。だが、逃がさない。頭の後ろを掴んで、キスをした。
「ん・・んっ」
魔法使いは、接近戦には弱い。詠唱させないように、その懐に入る。これまでに学んだことだった。きれいな顔が屈辱的に歪み、長い睫毛が苦しそうに揺れているのは、見応えがあった。

(つづく)


拍手ありがとうございます。
二日程弱っていました。やっと回復♪
元々そう丈夫でもなく、体調悪いのもデフォです。無理な時はすぐ休んで、自分のペースでやりますので、どうかご理解下さい。

以下、拍手お礼:
なお様、いつもありがとうございます。
あら、初めてなんですか?何だか嬉しいです♪
あれから申告ありませんので、リクエスト使わせて頂きます。ぼちぼち書きますので、しばしお待ちを。

snow様、初めまして。
ご挨拶ありがとうございます。
リンク大歓迎です。新しいお友達ができるのは嬉しいですから。
こちらこそ、量と愛だけのブログですが、どうぞよろしくお願いします。また伺わせて頂きますね。

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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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