※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 7
「別にそんなんじゃないよ」 岬の反論には力がなく、説得力をも欠く。 「じゃあ、何だ?お前ずっとあいつから逃げ回るのか?」 それはおそらく無理だろう。こんな山奥にも、若林は追っかけて来た。匿ってはくれるだろうが、後々若林との間に禍根を残しかねない、三杉やピエールを頼る程の気持ちではないのは、今回こちらに来たことで分かった。 「まさか。ちゃっと距離を置きたくなったんだよ」 白い、顔色を失った顔が、若林のことを話す時には、淡く色を帯びる。若林でなくとも、うっとりすることだろう。それだけの気持ちを、簡単に思い切れるとは思えない。 「口紅見た瞬間は、浮気かと血の気が下がったよ。すぐに違うって分かったけど。でも、それで怖くなったんだ」 「何が?」 岬と怖い、とはあまり結び付かない印象だ。人当たりの柔らかさの半面、岬の心は頑固で、そうそう揺るがされるとも思えない。 「そんなに動揺した自分」 岬の表情を見ていると、心配した自分が馬鹿馬鹿しくなった。傍らの新田を見ると、これまた口がムズムズしているらしいので、目で促す。 「それって、のろけじゃないんですか」 「えっ?」 「岬さん、さっき覗き込んだ時に、若林くん?って聞きましたよね。好きなんだったら、もっと素直になった方がイイっスよ」 なるほど、それで新田は最初から岬を説得しようとしていたのか。言葉を失った岬に、俺も口を挟む。 「好きだったら、それ位普通だろ?お前肝心なところで抜けてるな」 「若島津さんが言うと、さすがに説得力ありますね」 新田の賛辞はもちろん無視して、岬を見やると、両手で押さえる頬にも生気が戻っている。 「だって、あんなこと位で動揺しちゃうんだよ?この先一緒にいられる自信がない」 光の加減か、少し潤んで見える瞳に、上気した頬、これは若林が骨抜きにされる訳だ。いつもこんな顔で見つめられたら。 「負けず嫌いは、サッカーの時位にしろよ」 いい加減に許してやれ。言下に含んで、もう一度、新田に目配せをすると、まあ心得たもので、俺の携帯を持って来た。 「ちょっと待って・・」 岬の止めるのを無視して、履歴をたどった。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 拍手お礼: mint様、いつもありがとうございます。 普段あまり書かないメンバーなので、私もドキドキ綱渡りです。 若林くんが剣道をしている話は書いたことがあります。基本的に鍛えているので特別に何かしていなくても強そうです。日向くんとの殴り合いもすごかったし・・・。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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