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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
家出(6)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。



「ああ。寝てない顔だったな」
こうしている今も、岬はじっと様子を伺っているに違いない。
「・・・休むように伝えてくれないか」
すっと立ち上がると若林は件のドアに背を向けた。背中越しに見える横顔には苦渋が滲んでいる。
「どこへ行く?」
「市内のホテルに泊まる。また来る」
踵を返し、遠ざかる姿は潔く、それ以上は何も言えなかった。

「岬、入るぞ」
岬の立てこもっていた部屋に入ると、岬はおとなしく横になっていた。
「・・・聞いてたな」
「うん・・・」
半身を起こして、岬は小さく頷いた。顔色は芳しくないが、若林が撤退したことで安心したのだろう、落ち着いて見えた。
「何があったのかは知らんが、心配そうだったぞ」
「聞いた通りだよ。クラブの飲み会に行ったはずが、派手な口紅付けられて帰って来たんだ」
スティーブの口紅、を想像するとむしろ若林に同情したくなる。
 そして、あまりにあっさり答える岬に、謎は深まった。岬が気にするようにも思えない。
「スティーブが犯人なら気にすることもないだろ?」
「そうですよ。許してあげたら良いのに」
横合いから口を出した新田を、二人して睨みつける。だが、こいつはそんなことを気にするような可愛い性格ではない。
「さっきそこで会ったら頭下げられましたよ」
だからそれだけの助力はしなければならない。言わんばかりの新田の表情に、岬は静かに視線を返す。
「あんな熊男似合いませんよって忠告してくれたの誰だっけ?」
シニカルな物言いのくせに、妙に優しい口調からは岬の本音が透けるようだった。少しやつれている癖に、微笑む岬は妙に色気があって、何を思うのか想像できた。
「お前、何を気にしてる?」
ふと口をついて出た言葉に、岬は弾かれたかのように顔を上げた。

(つづく)

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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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