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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
ウォッチング(複数)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

「相変わらず目敏いなあ、お前は」
若島津に言われたことがある。
 サッカー部の先輩とマネージャーが晴れてお付き合いを始めたのを、一番早く気付いたのは俺で、若島津がそう発言したのは、その話をした翌日だった。そんな短期間に検証して確信した若島津はさすがだけど、その若島津の感嘆をゲットできたのは嬉しかった。

 クラスの隠れカップルを見つけるのは、俺の得意とするところだ。ほとんどの場合は意外性もないし、広めても面倒になるだけだから、自分だけが知っているという優越感を選んだ。まあ、プロの俺から見たら、いくら隠していても、どこかに不自然さがあるってことだ。

 と思っていた時期もありました。


 また始まった。

 そうとしか言いようがない。今まで気付かなかった自分のうかつさに呆れるぜ。

 若林と岬が付き合っているのを、ひょんなこと(これ言ってみたかったんだよな)から知った。そういう目で見れば、確かにけっこうアイコンタクトを取っているし、頷き合うのひとつにも、独特の間合いや雰囲気がある。
 あからさまではないにしろ、気がつかなかったのは、俺のカンが鈍ったというよりは、二人の、特に岬の印象のせいだろう。

 中学時代、Jr.ユースに岬が合流する前に、岬の噂を聞いた。黄金コンビのかたわれで、色の白い女の子のような奴だと聞いていた。実際、初めて見た岬は本当に美少年だった。
 翼や若林を仲間外れにした日向さんや松山が岬を受け入れるのを見て、はっきり言ってひいきだなと思った。口にするほど、バカじゃないけど。
 一方で、おとなしくてニコニコしている岬は、女の子とのことを冷やかされても、友達だよと言い切った。その様子を見ていて、こいつは女にモテないと確信した。そして、マークから外した。

 若林は反対に、マークしたらムカつくだろうと思って外したクチだ。背は高いし、体格も良いし、好みはあるだろうが顔は悪くないし、金持ちのボンボンで、ドイツ在住。どう考えてもやりまくりで、近場で満足するタイプじゃない。
 結果的に二人ともマークしてなかった。

 まあ、よく考えたら二人とも合宿中に出歩くことが多かったんだ。ただ、若林は団体行動を面倒がりそうだし、岬はふらりと消える印象が強すぎて、まさか一緒にいるとは考えもしなかったんだよな。

 ただ、気がついてみると、アイコンタクトで全然収まってない!アイコンタクトなんていう生易しいもんじゃない。欲望ギラギラ視線と、冷たい視線だし。
 側に行きたい若林と、人目を気にする岬の攻防は、なかなかの見物だ。側に寄ろうとする若林を睨みつける岬は、まるで試合中のように険しい顔をしている。
 そのくせ当の若林ときたら、そんな岬を見ながら、嬉しそうににやけている。若林は侍というフレーズがよく使われているが、そんな印象とは真逆の表情だ。…岬に邪険に扱われるのすら幸せらしい。
 そんな二人を見ていて、気付いた。二人の様子を見守っているらしい二人がいることに。

 若島津と三杉も、二人の視線を追っている俺に気付いた様子だった。

「さすがに目敏いな、反町」
先に口を開いたのは若島津の方だった。俺が面白がっていることまで見透かす目で、異議を認めない。
「何で二人して見守ってるんだ?」
若島津の反応からすると、俺よりも前から知っていた様子だ。若島津と三杉って、監視団としては豪華過ぎないか!?
「関わりたくないからだ」
若島津はごくあっさりと言い切った。まあ、その気持ちは分かるな。若林は見るからにヤバそうだし、岬は違う意味でヤバい。
「確かにな」
若島津はあいつらと付き合いが俺より長い分、もっといろいろと思うところがあるんだろう。
「まあ、見ていると色々気付くこともあるけどな」
若島津の言う意味は分からないでもない。若林のにやけた顔なんて見るはめになるとは。その前に、コロス、と書いてあるような殺意に満ちた顔を見ただけに、余計に意外だった。
「そうだな」

 その時点では、俺は何も気付いてなかったようなものだ。


 紅白戦で、俺と新田は若林の守るゴール近くまで攻め込んだ。それをアシストするのは岬だ。DFの間をすり抜けるようなパスは本当に絶妙で、岬と組みたい奴が多いのはよく分かる。…若林はGKだけど。
「新田!」
岬のセンタリングに、新田が飛び付く。俺はその新田からボールを奪うようにシュートしようとして、反応してきていた若林ともつれた。
「うわっ!」
若林に乗っかるようにして、地面に倒れたところで、何人かが駆け寄って来た。
「大丈夫か!?」
俺を起こしてくれたのは石崎だった。浦辺と新田も手を貸してくれた。一方、若林は駆け付けた岬に助け起こされていた。若林はさすがの丈夫さで、ほとんど自分で起き上がっていて、むしろ心配そうに大きな目を潤ませている岬に抱き着きそうな勢いである。繰り広げられる二人の世界に、目が釘付けになった。これはマズい。これでバレない訳がないだろ!?

 俺は焦った。そして、次の瞬間、俺は叫んだ。

「うおおおっ!ゴールしたぜ!!」
俺と若林がぶつかったおかげで、ボールはゴールラインを割っていた。それを喜ぶふりをして、俺は注目を集めることに成功した。
「なあ、空気読みぃなあ」
早田は言うが、いや、俺ほど空気を読んでいる男はいないぞ!三杉なんか異常ににこやかに微笑んで、俺のフォローを称えてくれているくらいだ。
「反町、ナイスゴール!」
もう一人、空気を読んだ岬は、若林から離れて、俺の肩に触れて走り去った。その顔はほんのり淡く染まっていて、柔らかい笑顔は岬を可愛らしく見せていた。

 ああ、あいつら本当に両想いなんだな、幸せそうだな(棒)。

 熱々カップル(笑)を守り抜いた達成感の一方で、虚しさが残る。よりによって、早田に空気読めない認定されるなんて!
 そりゃ、あいつらが関わりたくないと言うはずだ。あんなにどっぷり二人の世界に浸る連中に、気を回すだけムダだし。若林なんか、バレても良い、いやむしろ公表したいなんて思ってやがるに違いない。

 そうして俺は監視ではなく、観察にまわることにした。何もしないで見守るなんて、若島津と三杉は若年寄かよとも思っていたんだが、そうせざるを得ない原因もよく分かったからだ。

 最初は、若林が岬に執着しているのかと思っていたら、岬もゴールを守る若林をうっとり見つめている時があるし、なるほどよく見ないと分からないこともあるんだと、若島津の言っている意味が分かった気もしたんだが、俺はまだまだ甘かった。

 俺はこんな感じで、危険人物じゃないから、監視しないでくれないかな。

 俺を監視しているのは、もちろん若島津や三杉ではない。街に繰り出す度に、よく知らない連中に見られているんだ。…若林の奴、本当に何者なんだよ(怒)。

 願わくば、俺につけられた数々の監視もなくなって、思う存分カップル観察できるようになりますように。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
書いてしまった反町くん話その2です。今回は振り回されています。

いままでのずん様拍手の履歴を作りました。…結構抜けている気がします。抜けているだけでなく、どこにも残っていないものすら。やっぱりこまめに整理するのって大事。

それで、今回余った拍手お知らせページを再利用したら、拍手入っていました…もう、うかつにもほどがある…。反省します。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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