※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 パラレルです。先日とはまた別物です。 1
事務所のテレビモニター一杯に映し出された笑顔に、少しだけ不機嫌そうに、岬は顔を背けた。
岬はデビューしてから2年目のアイドルである。 因業親父のツケがまわって・・・などと、仲の良い俳優の日向にはデビューの経緯をとかくからかわれてはいるが、デビュー後にあっという間に人気が出たのは、岬の資質としかいえないだろう。 岬の愛くるしい面差しと、老若男女問わず守ってやりたくなる雰囲気、天使のような笑顔は、たちまちお茶の間を席巻した。
「若林さん、今日の仕事は?」 岬の問いに、敏腕と名高いマネージャーは、手帳を見るまでもなく答える。 「あとは雑誌のインタビュー、それで終わりだ」 「ありがとう」 ニコッと向けられる笑顔に、若林は目を背ける。そんな笑顔は、仕事の時だけで良いのに、岬は少々辛くても、微笑んでみせる。 「少しでも、寝ておけ」 「はあい」 機嫌よく返事をして、岬は若林の肩にもたれる。「ちゃんとベッドあるだろ?」 用意された折り畳み式のベッドを指差す若林だが、岬は首を横に振る。 「髪の毛、クセになるよ。突っ伏して、跡がつくのもいけないんだよね?」 だからと言って、当然にもたれ掛からなくても。若林は、抱き上げた岬を折り畳みベッドに移す。 「メイクの時にヘアーメイクもして貰うから大丈夫だ。大体、寝癖なんかつかないくせに」 風でサラサラ揺れる髪は、岬の特徴の一つでもある。と言っても、大きく澄んだ甘い茶色の目も、白いだけでなく、ふんわり柔らかそうな肌も、長いつややかなまつげも、つんと可愛く尖った鼻も、桜色でプルプルした唇も、全体として賢そうなのに、優しさが勝っている可愛い顔も、すべて岬の特徴ではあるのだが。 「・・もう、しょうがないな」 岬は側にあったクッションを枕に横になった。これほどの売れっ子になりながら、ワガママすらも可愛らしい岬は、若林の自慢ではある。 「若林さん」 ふと見ると、岬が目を開けていた。不意に目が合って、驚く若林に、岬は優しく微笑んだ。 「おやすみなさい」
こんな時の岬の微笑みは、いつもとは違うと若林は思う。仕事用の笑顔ではなく、もっと心が締め付けられるような笑顔だ。 「そんな顔してみろよ、今まで岬のファンじゃない連中もみんな岬のこと好きになるぜ」 「いらないよ。僕のことを好きな人が不安になったらいやだし」 そう言いながら見上げる顔は、あまりにも可愛い。それは反則だろう、と若林は頭を抱えた。
(つづく)
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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