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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
空を仰いで(6)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
今日で終わりです。



 立ち尽くした俺に、次に三杉がくれたのは大目玉だった。
「健康管理も仕事のうちだよ。まったく、君は丈夫だから気がつかなかったのかも知れないが、普通なら発熱してもおかしくないんだよ。それに、電話で聞いた後、何故書面で確認しないんだい?」
返す言葉も面目もない。三杉の正論に、頭を垂れるしかなかった。
「何より、岬くんをあんなに心配させて」
岬のリフティングは事務室の廊下からも見えた。迷いも怒りも悲しみも表に出すことなく、岬はボールを蹴り続けている。早く岬に会いたい。謝りたい。
「僕の説教はここまで。後は岬くんにお灸を据えてもらいたまえ」
お許しが出た瞬間に走り出した。

 グラウンドに着くと、岬はまだリフティングを続けていた。
「岬ィ!」
岬は不思議そうな顔をして、動きを止めた。膝の上を舞っていたボールが、行き場をなくして、地面に落ちる。そして、岬を取り囲んでいた連中が、一斉に振り返った。
「話がある」
多分、俺の声は弾んでいたに違いない。岬は嬉しそうに微笑み、ボールを拾って翼に手渡した。
「岬くんはそれでも良いの?」
岬は翼を振り返り、小さく頷いて見せた。
「お前、案外バカだな」
若島津と練習をしていた日向の言葉に、岬は少しも動じる様子はない。
「そのバカの味方したのは誰だっけ?」
岬の返答に、日向は黙り込んだ。
「はいはい、あんたの負けです」
宥めているのか、けしかけているのか、間に割って入った若島津は、岬の背中を軽く押した。
「さあ、行け。俺達は お 前 の味方だ」
「うん、ありがとう」
岬は、松山や日向、翼達を見渡すと、みんなに向かって手を振り、それからは振り返りもせずに歩いた。

 部屋に戻った途端、岬に頭を下げた。
「すまない。昨日言ったことは忘れてくれないか」
岬は黙って俺を見上げた。少し案じるような、様子を窺うような表情から、ゆっくりと緊張が解けていく。
「もう、大丈夫?」
優しい顔で尋ねられて、かえって罪悪感が込み上げた。よく見ると、目が赤い。・・・ひょっとすると、リフティングをして、空を仰いで、涙を堪えていたのかも知れない。
「岬」
「ん?」
心配しないで怒ってくれ。言おうと思った。償いの言葉を連ねようと思った。それなのに、あんなに傷つけたのに、微笑んでくれる岬を見ると、たった一つの言葉しか出て来ない。
「好きだ」
「・・・うん」
小さく岬が頷く。赤かった目が、もう少し赤くなって、大きな瞳が揺れる。
 涙がこぼれてしまう前に、岬を抱きすくめた。岬が腕の中で、少しだけ体を預けてくれる感覚に、酔いそうになる。確かに、抱きしめた!
「もう二度と離さないからな」
「いいよ」
俺の背中に腕をまわし、岬はシャツの後ろをギュッと握った。
「その代わり、もう二度と逃がさないよ」
少しだけ凄みの効いた声に添えられた笑顔は心からのものに見えた。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
リフティングの世界記録は24時間だそうです。参考までに。

以下、拍手お礼:

まひまひ様、いつもありがとうございます。
最初から、あっさりよりを戻す予定でした。あの若林くんがしょんぼりと別れを告げて来たら、岬くんは心配以外の何物でもありませんもの!
連載中ずっと励ましありがとうございました。

あまね様、いつもありがとうございます。
三杉くんは最強、がデフォですから♪
リクエストとは結果的にかなり掛け離れてしまって、すみません。

なお様、お久しぶりです。
結果的に、若林くんには恥をかかせてしまいましたが、病気よりは良いよね??と言い訳しています。何とか完結できました。ありがとうございました。


拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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