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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
よくある風景(2)
※二次創作です。女性向け表現を含んだりしますので、苦手な方はご注意下さい。

昨日の続き。起承転結の承、のつもりです。

2.食堂
 食堂は混乱していた。
「何や、この雑誌は」
見つけたのは当番の早田だった。先週、遅刻が3回に達した早田は食事当番も3回目である。
「ふ?ん、すごく可愛い男とすごくブスな女、するならどっちって?そんなん、きれいな方がええやろ。当たり前や」
エプロンを身につけた早田は、鼻歌交じりに机を拭きながら、他の者が現れるのを待った。
「おはよう、あれ、早田ニヤニヤしてどうしたの?」
「何だか気持ち悪いな」
現れたのは朝練戻りの翼と松山だった。シャワーを浴びて、さっぱりした姿で二人して早田に尋ねる。
「なあなあ、この本見てみい」
早田に手渡された二人は、一斉に覗き込んだ。
「俺は岬くんならいつでもオッケーだよ♪」
「そうだな・・・岬なら・・・」
期せずして、同じタイミングで同じことを言った二人のうち、松山は露骨に嫌な顔をした。
「今のはあくまで仮定の話だからな、俺には藤沢がいるんだから」
「松山、何赤なってんねんな?ちょい落ち着きいな」
弁解に熱のこもる松山を横目に、早田は岬人気やな、と呟いた。ここフランスに着いてから合流した黄金コンビの片われは確かに可愛い顔をしている。天才大空翼の唯一のパートナーで、日向や松山の昔なじみという話だけではどんな猛者かと思っていたのだが、予想外の美少年に、若林加入以来の波乱に期待していた早田としては拍子抜けだった。顔だけでなく性格も可愛く、すぐに合宿に馴染んでしまった岬のこと、この高評価も頷けた。
それにしても、松山の反応は面白かった。またからかいの材料が増えた、と早田は次の獲物を待った。
 次に現れたのは、滝と来生だった。翼に同じ質問をされて、二人は首を振る。
「俺は女、が良いかな。まだ経験ないしさ」
来生の言葉に、顔を曇らせた滝も頷く。
「きれいな男って言われたら、三杉連想しちまって、もう女なら何でも良い感じ」
滝の言葉に、早田は涙目で肩を叩いた。笑いを堪えるのに必死な様子だ。
「滝、侮れへん奴やな」
相当ツボに入ったらしい。滝がむくれる一方、来生は雑誌に見入る。
「若林さんとかどう答えるか興味あるけどな」
若林はこの合宿では蛇蝎の如く嫌われている。周囲に、厳しく当たっているから当たり前なのだが、本人はどこ吹く風、一人でジョギングに行く姿も堂に入っている。
「えーあんな奴どうでもええやん」
早田の言葉に、来生は眉を上げてみせる。
「何か経験ありそうじゃん。ドイツ、美人多かったろ?」
「そやな。ドイツってパッキンのべっぴん多かったもんな」
関西で言うところのやらしい笑いを浮かべる早田の頭を小突いたのは、日向だった。
「早田、朝から気持ち悪い顔すんな」
こちらも朝練帰りなのが明白な日向と若島津に、早田は雑誌を突き付けた。
「あんたらはどうなんや?やっぱり・・・」
何しろ相手は部屋も食事も風呂も一緒な二人である。
「反町だな、そんな雑誌持ち込みやがって」
「起こしついでにシメてやろうか」
二人して向きを変えた後ろ姿は、迫力に満ちていた。さすが、猛虎と空手キーパー、同輩を起こしに行く姿さえ、出入りに見える。
「ちょっ、お二人さんって。あーもう」
早田は二人の追跡を断念し、ヤカンを並べ終えた。食堂はセルフサービスなので、後は放っておいても良い。
「なあ、この本見てみ・・・」
当番の仕事も一段落した早田は、エプロンを外しつつ、ちょうど現れた相手に雑誌を見せて、固まった。
「なるほどね・・・こういう雑誌は持ち込み禁止、なんだけど」
「み、三杉・・・」
その顔を見た者は石になると言われる、ギリシャ神話のメデューサにも匹敵する怪物がそこにいた。
「じゃあ没収ね」
三杉が去り行くのと、若島津に掴まれた反町が来るのは同時だった。反町は三杉の様子を察して、沈黙でやり過ごした。この合宿は怪物が多すぎる。

 朝食が終わる頃、若林が食堂を通りかかった。どこからか戻って来た様子に、早田が突っ掛かる。
「早よ食べてくれんと片付かへんねんけど」
「食べて来たから良い」
これだからお坊ちゃんは。陰口を叩くよりは嫌みの方が好きな早田である。通りすがりに言いかけて、立ち止まる。
「何や若林、お前味噌汁食べて来たんか」
トレーナーの襟を掴む早田は、目付きを鋭くしかけた若林の予想に反して、涙目だった。
「うらやましい?」

(つづく)


今回に限らず、承、にはつい早田くんを使ってしまいます。関西人ですから。
一番動かしやすいし、書きやすい。話には直接絡めないにしろ。
今回もエプロン姿を想像しながら書きました。詳細はお任せです。
で、転には翼くん、結には三杉様、を使ってしまうという傾向があります。
特に三杉様には足を向けて眠れません。
二次創作と三次創作では、三次創作の方がアクセス数多いのです。
それもこれもきっと、三杉様のおかげ。
源岬書いちゃダメ?
軽く葛藤しております。

from past log<2008.11.16>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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