※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 3
それから、友達に写真を撮ってもらった。連発される、可愛いフロイライン、という台詞が岬の耳に入らぬように注意する。 ホテルに泊まる、という岬を説得して、俺の家に泊めることになった。 「良い家だね」 「最初は見上さんも一緒だったからな」 悪友達は来ても、日本の友達が来るのは初めてだった。岬が詮索好きな性格でなくても、俺の机の上の写真にも気づいたに違いない。南葛SCの優勝の記念写真。その中には当然岬がいる。
岬に客間を案内して、他も一通りの説明をする。岬はいちいち頷いてみせた。 「本当に、泊まって良いの?」 「もちろん」 少しでも、長くいたい。それしか頭になかった。
岬のことをどう思っているか、については結論は出ていない。ただ、会いたかったのと、会えて嬉しいのと、心配だったのは確実だった。 「そう?じゃあ、お言葉に甘えるね」
岬は、ちゃんと着替えを用意して来ていた。パジャマの岬は予想外に可愛くて、何だか正視できなかった。 「何か、文句ある?」 「ないない」 岬とふざけあうなんて、3年前にもなかったことだった。それがこの異郷で起こったことは、すごく不思議に思えた。 「岬、一つ聞いて良いか?」 「何?」 ソファーに掛けて、二人で話した。・・・三年前も二人でこんなに話したことはなかった。嬉しくて、つい不思議に思った。もしかして?一抹の期待に、気持ちが高ぶる。 「何で、ここまで来た?」 「それは、雑誌で・・・」 「それ位で、ここまで来ないだろ?」 岬らしくないことだった。翼に、一通も手紙を書かなかった岬。ロベルトのことはさすがに書けないのもあって、翼は岬のことばかり書いて来た。 「・・・何でだろうね?」 顔を上げた岬は、笑ってはいなかった。静かな顔で、考え込んでいるのは明白だった。期待した答えはもらえそうにないが、それでも良かった。 「・・・ごめん、分からないや」 「そうか」 岬にも分からないことがあるのは、不思議な気がした。そして、考え込んだ真剣な岬の表情は、とても印象深かった。
岬は一晩泊まり、翌朝に帰った。写真を送るから、としつこく食い下がり、やっと教えてもらった電話番号を、電話のすぐ側に貼り付けた。
それから、俺は見上さんに電話をした。見上さんが、岬を探していた理由は、最近分かった。フランスで予定されているJr.ユース大会に、日本がエントリーしていること。サッカー協会のバックアップの元、見上さんが監督に内定していることが耳に入っていた。 「岬はフランスか。分かった。早速協会の人間を向かわせよう。ありがとう、源三」 見上さんは、俺の言葉に驚いた様子だったが、そう極端に反応することなく、電話を切った。 見上さんから見ても、俺と岬は親しくはなかった。単なるチームメイト、が関の山だ。だから、会いに来る理由などないのに。岬は来た。
分からない、と岬は言った。
案外その通りかも知れないと俺は思う。俺だって、岬と再会するまで、岬に会いたい理由は分からなかった。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 雨が続いて、体調が・・・。話もダラダラになってきました。
拍手お礼: まひまひ様、いつもありがとうございます。 ご心配をおかけしてすみません。おかげさまで、少しはマシになりました。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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