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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
笑顔の天使(下)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
パラレルです。昨日の続き。



 顔合わせも、写真撮影も終わり、何となく出演者がバラける。若林の取り巻きが離れているのを目視して、岬は若林に駆け寄った。
「さっきのはどういう意味?」
岬らしくなく、穏やかならざる口調になった。若林は岬を見下ろし、静かに口を開く。
「そうやって自然にしてたって良いって意味だ」
良い子、でいなければならない岬にとっては、何より難しい注文といえた。
「同情はやめてよ」
少し険しくなった顔を、若林は注視し、それからおもむろに岬を見つめる。
「同情じゃないさ。・・・気持ちは分かる」
若林の家には家族はいない。同居人という名の他人がいる場所だ。そして、若林がこの仕事を始めたのも、両親の為でしかない。そういえば、岬も雑誌の記事を見たことがあった。
 そして、今日の楽屋で、保護者の付き添いのないのは、若林と岬だけだった。
「ああ、そう」
乾いた返事をして、岬は背を向けた。若林の言葉の意味は分かる。だが。返事はしたくなかった。岬の心をここまで波打たせたのは、若林が初めてだった。
「お前に会ってみたかった」
追い縋る若林の意外な台詞に、岬はそのまま立ち去ろうとしたものの、いつのまにか、腕を掴まれていた。振りほどいて、睨みつけた岬に、若林は笑顔を向ける。
「会えて良かったよ」
「天使、じゃないからガッカリしたんじゃないの?」
ムキにならずに、控室に逃げ帰るべきだった。岬が気付いた時には遅かった。
「天使じゃなくて安心した。こうして触れるし」
同い年とは思えない、たくましい腕に、不意に抱きすくめられて、岬は息が止まった。

 岬にとっては、何もかも初めてだった。
 追い詰められたことも、笑顔で対峙できなかったことも、天使じゃなくて良かったと言われたことも、抱きしめられたことも。

「離してよ」
「ああ、良いぜ。そのかわり、次会うまでに俺のこと好きになれよ」
「何だよ、それ」
怒っているつもりなのに、軽くあしらわれて、岬の心に奇妙な感情が沸き上がる。
 思えば、同年代とこんな軽口を叩くのは初めてだった。自分の感情に、ここまでの振幅があるのも知らずにいた。
「とりあえず、今度デートしてもらおうかな」
「良いよ、いつ?」
岬自身驚いたほど、すんなり声が出た。若林も意外そうな顔をしてから、おとなしく手を離す。
「嘘かも知れないのに、離すの?」
身長差のせいで、どうしても挑むような上目遣いになる。冗談めかして尋ねた岬に、若林は満面の笑顔である。
「もうお前俺のこと好きだろ?」
「ううん」
即答してから、岬は微笑んだ。素材の良さもあいまって、天使の笑顔、と呼ばれるに相応しい。
 若林が二の句も継げずにいる間に、今度こそ立ち去る。

 好きかは分からないけど、一緒にいるのは楽しい。

 また会いたい、そう思った岬だった。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
C翼の映画のキャスト話・・は、昔懐かしのアニパロコミックスでばけこさんがされていたなあ、と昨日気付きました・・・。(遅い)
岬くんはそのままアイドル子役、若林くんは大河ドラマの少年時代役のイメージで。
気が向いたら続きを書いてみたいです。

キリ番の77,777が踏まれていたので、PCを開けてみたのですが・・・残念ながら無言でした。
77,778のメッセージを入れて下さった方、リクエスト権を移しますので、良ろしければ、ご連絡下さい。


以下、拍手お礼:

まひまひ様、いつもありがとうございます。
二人の美術館デートは3回目くらい。(書き過ぎ・・・)うっとりする岬くんの横顔に見とれる若林くんはデフォです。
「笑顔の天使」は今日のパートを書きたくて。若林くんは、常に周囲より大人で、どこにいても人の中心にいるように思えてなりません。それが幸せなように思えないから、岬くんといる時は自由で幸せに思えてしまうんです。私見ですけれど。

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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