※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 せっかく日本に帰って来たのだから、と毎日外出に誘う俺に、岬は少し呆れているようだった。
俺達は元来一人に慣れているんだから、かえってこういう時期があっても良いように思う。
だから、作戦を変えた。家の者に美術館のチケットを用意させた。岬は思った通り喜んでくれて、二人で美術館デートと相成った。
駅前で、チラシを貰った。俺にだけ手渡されたチラシを眺めて、前を見て、得心がいった。
足どりも軽く、少し前を行く岬は、俺のプレゼントしたケープが似合い過ぎていて、とても同い年の男には見えない。
岬に見つからないように、手の中のラブホテルの割引券をポケットにしまった。美術館の裏手の地図。割引券には、美術館の半券で、サービスとも書かれていた。
岬によると、今回は半年ぶりの大型企画で、海外の美術館の所蔵品展らしい。岬は画家の名前だか作品名だかを挙げたが、よく分からないので、岬の後に従う。 岬は相変わらず真剣な顔で、作品を鑑賞する。整ったその横顔自体、透き通るようで、美術品よりも俺の目を楽しませた。 大きな寝台に横たわった女の絵の前にはかなり長くいた。眠る女への憎しみ溢れるかのような絵を見る、その岬を観察するのが楽しい。 グラウンドで、風になる岬も好きだが、美術館での岬も何とも言えない。俺の分からない世界で、頬を上気させたり、目を潤ませたりする岬に、俺は黙って付き合う。岬の様子を眺めているだけで、良い日だと思う。
「ごめんね、長く付き合わせて」 「いや、楽しかったぜ」 そう言いながらも、美術館を出た岬は、足元も覚束ない様子だった。あの親父さんの子だもんな、と手を引いて誘導した。 地図通り、すぐ裏手だ。
「え?」 門をくぐると、岬が俺の顔と、煉瓦造りの建物を見比べる。確かに、イタリア風の色煉瓦だもんな。 「休憩な」 「えっ、ちょっと・・・」 ほとんど引きずる位の勢いで歩く。とはいえ、岬がよく分かっていないのが救いだ。表の派手な看板をスルーすれば、単なるホテルに見えなくもない。 「ここって、もしかして」 岬が言ったのは、部屋に着いてからだった。見覚えのある精算機に気付いたらしい。が、もう遅い。 「飲み物何にする?デザートもサービスだって」 割引券をヒラヒラさせた。 「・・はあ」 岬は、無表情のままため息を吐くと、ソファーに倒れ込む。 「ごめん、今回は正直ありがたいかも。疲れた・・・」 あれだけ必死に見てたらな。もう4時をまわっている。 「別に寝ても良いぞ」 嘘だ。寝かせたくはない。だが、時間はいくらでもある。 「ありがと・・」 岬の声は途中で切れた。相変わらず、軽い体を抱き上げて、ベッドに移す。
まあ、楽しみが延びただけだ。広いベッドの上の眠り姫を見遣る。 やっぱり、きれいだと思う。激しくて、強情で、淋しがり屋で、優しくて、可愛くて、頼りになって、愛しくて。
どんな美術品よりも飽きないよ。
眠る岬に口づけた。そのうち目を開けてくれることを期待しながら。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 会員制のサイトから、こういうサービスの案内メールが時々届きます。(古都なので、美術館も多いのです)
美術館デート!源岬だっ!!
という訳で、短絡的に自己満足で。岬くん、今晩は寝かせてもらえないと思います。ご愁傷様です。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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