※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 今日が最終です。 若林くんは、相変わらずだ。ケガをしたことさえ忘れたように、僕を抱き上げてしまった。平気で帰って来た。お医者さんは、しばらくは安静に、と言ってらしいけど・・・これって、安静と程遠いんじゃないだろうか。
でも、若林くんの表情を見ている限りでは、全く心配は要らなさそうだった。・・・人一倍丈夫なのは分かっている。君は精神的にも肉体的にもタフだ。周りを守るためには、自分の痛みには鈍感な君だから、僕は好きになった。
・・・鈍感な君は気づいていなかったかも知れないけれど。
若林くんは、寝室のドアを器用に開けると、恭しくベッドに下ろしてくれた。そのままベッドに座った僕の隣に、若林くんも腰掛ける。ベッドのきしむ音に、静寂を意識する。 「こんな形でお前を手に入れるのは気が引けるが、正直もう余裕がない」 確かに、余裕のない声、口調、僕の背を抱く腕。でも、それが余計にぼくの心も駆り立てる。僕の方こそ、さっきから息も苦しい。 「気にしないで」 自分の声の方が上ずって聞こえる。静まらない胸に、気づかれたくないのに、触れて欲しい。 想いごと重ねられた手を握り返す。そのまま、ベッドに倒されて、僕は若林くんを見上げた。 「お前がその気になるまで待つって言ったのに」 「じゃあ、その約束も守れたよ」 ふわっと、表情が柔らかくなる。優しい両掌が俺の顔を包んだかと思うと、そっと、触れるか触れないか位の、口づけをもらった。髪に指を絡めながら、繰り返されるキスと、囁き。 「好きだ」 「うん」 「愛してる」 「うん」 「ずっと、なんだぞ」 「うん」 甘い響きにとろけた。ほんの言葉ひとつで、本当はもうとっくに君のものにされている。嬉しそうに、顔中触れられる。首の後ろに手をまわされ、頭を抱えるような形になって、僕は思わず目をつぶった。 「とって食う訳じゃない。愛するだけ」 その声に、胸の中が熱くなって、今にも爆発しそう。若林くんの手が、ゆっくりと僕の胸に触れる。 「怖い?」 「少し」 目を開けると、若林くんは笑っていた。本当は、まともに顔を見られなかったのだと自覚する。そして、自分の中に、こんな熱さが潜んでいたことを。苦痛なのか、快楽なのか、もう自分でも分からないのに、貪欲な身体は若林くんを求める。 息の仕方すら忘れた。痛いくらいに切ない身体に、僕は戸惑うしかできない。 「感じやすいんだな」 苦しい息の下、首を振る。自分でも知らない甘い声に、自分で思っていた以上に、君を好きなんだと気づいてしまう。 そして、君も。
・・・鈍感なのは、僕の方だった。
「大丈夫か?」 「・・う・・・ん」 声になっていない。全身が痺れたまま、ただそこに在る。 「無理するな、と言いたいところだが・・・悪かったな」 「良いよ。大丈夫だから・・・」 逞しい腕が、もう一度僕の背中を抱く。大きな手の感触に、優しい触れ方に、また感動しそうになる。 「・・・嘘つけ。俺が無理したら、怒るくせに」 今度はただ包み込まれる。髪の毛を撫でる手に、裸の胸が奏でる鼓動に、愛しさがじわじわとこみ上げた。
若林くんは、二日間休んだだけで、異常なしの診断が下された。お医者さんもびっくりするくらいの回復力だけど、僕が笑って見送ることができたのは、お医者さんの太鼓判だけじゃない。いざという時、ちゃんと自分を大事にしてくれると確信できたからだった。 「岬に心配かけたくないからな」 若林くんはそう言って、ちゃっかり行って来ます、のキスをして行った。僕は赤くなった頬を押さえながら、キスして欲しいタイミングを逃さない若林くんに呆れたのだった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 土日忙しかったので、PCを開けず。 外でポメラ使っていたので、非常にソフトになりました。 一応、うちは15禁なので、これくらいです。(18禁はよそ様のサイトか、web拍手でしかやりません) 先日の18禁(のつもり)も公開を後悔していた自分には、これくらいが限界でした・・・。
以下、拍手お礼:
まひまひ様、いつもありがとうございます。 いつも以上に意識して描写していたので、理解して頂けて嬉しいですv 今回は岬くんに振り回される若林くんと、若林くん大好きな岬くん、になってしまい、意図せぬ方向にどんどんと。せっかく楽しみにして頂いたのに。 終わったら反省会予定です。(独りで)
さくら様、いつもありがとうございます。 「傘」は、大学生の相合傘を見て。でも、確かに外国舞台だと妙におしゃれな気もしないでもないですが・・・気のせいですね。でも、ラブラブと言って頂けて嬉しいです♪ また、そちらに伺わせていただきますね。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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