※三次創作です。女性向表現を含みます。色々お気をつけ下さい。
最終回。 松山が若林城に戻ると、若林司令と岬が待っていた。 「松山くん、どこに行ってたの?おやつ一緒に食べようと思って待ってたんだよ」 岬の言葉に、若林司令も頷く。若林もおやつを待たされていたらしく、やつれて頬が凹んでしまっている。 「・・・岬」 「どうしたの?」 「何でもない。呼んだだけ」 「変な松山くん」 あの若林におやつを我慢させることがどんなことか気付いていないだろう友達に、松山は視線を送った。本当なら今日一緒に出掛けるつもりだったのに。 「大人の階段の?ぼる?」 「若林司令、何歌ってるんですか!ほら、ちゃんと食べて下さいよ」 お前は大人の階段を上っちまったのか?松山は故郷の山河を思い描きながら叫ぶしかなかった。
次の週に召集をかけられた面々が嫌そうに集合したところ、司令本部は誕生日パーティー仕様になっていた。 6月21日は松山、23日は三杉司令の誕生日である。騒動にかまけて自分の誕生日を忘れていた松山が「あ」と赤くなった。 「松山くん、黙っててごめんね」 尾行の顛末を聞き、スクリーンに隠しカメラの映像を映し出された岬は、松山に素直に謝った。司令と二人でこそこそ準備をしたらしい。 「三杉参謀はリクエスト通り超高級時計だぜ。岬に選んで貰ったんだ」 そのために二人は買い物に行き、宝石店に寄り。 「松山!ガセ情報を流しやがって!」 松山の襟首を掴んで、日向が吠える。 「うるせえ!お前、プレゼントもねえのか!」 掴み合い、更に殴り合い、改めて醜い争いをする二人に、岬が割って入る。 「駄目ですよ。折角のお誕生日会に仲良くしないと」 不意をつかれただけのことはあり、日向と松山が微笑むのを見て、岬は良い誕生日会になったと笑顔になったが、若島津とは意見が合わなかったに違いない。
けとばしマン一同はイシザキ隊の天使の歌声をコーラスに、HAPPY BIRTHDAYを歌い、ウエディングケーキばりのバースデーケーキを食べて、仲間の誕生日を祝った。 「翼くん、頼むから三杉参謀にクラッカー向けるのはやめて!」 「人類のためだ、やめろ翼!」 「はっはっはっ、見たまえ、諸君。室内以上に飾り付けられたこの僕を!」 発作をめぐるやりとりさえも和やかである。 「足りると思うか?」 「どうして足りないんですか!トドは今回なしですよ」 とんでもないケーキを切り分けながら、岬がため息をつくのも、お互いのケーキを定規で測る日向と松山に若島津が喧嘩両成敗するのも、そのくせ自分の方が大きかったからと日向がテレながら自分のケーキを譲るのも、戦士たちに許されたたまの休息にはふさわしい、平和の光景だった。
「若林司令、みんな喜んでくれて良かったですね」 「ああ」 秘密を守れるのはおまえしかいないから、そう言われて準備をするのは楽しかった。三杉参謀や松山のプレゼントを選ぶのも、ケーキを注文するのも。でも。 「これはお礼。誰にも内緒だぞ」 言われて差し出されたのは、綺麗な色の石が付いた指輪だった。指にぴったりのリングは見るからに高価な代物であり、中心に輝くのは5月の誕生石のエメラルドで、わざわざ買ったのかは明白だった。誕生日は先月終わったばかりだし、その時も立派なプレゼントをもらったけれど。 こればかりは、誰にも言えない。秘密は守るしかない。肝心のところに気づかない仲間達に感謝しつつも恨みつつ、岬は指できらめく指輪に今日何回かのため息をついた。ただ、その吐息はそれまでよりも、ずっと甘かった。
(終わり)
日付が変わる前に更新する予定が・・・。 BGMに聞いていたのが面白くて、つい聞き込んでしまいました。 おかげで、最後なかなか進まず。 今日のBGMは昔出た三国志のドラマCDで呂布編です。 呂布の声が橋本さんなので、つい。 予告の台詞。 「自分だけが神であり自分のために生きてきた。あの日運命に出会うまでは。 すべてを狂わす愛の謀略」 いやはや。この台詞だけでノックアウトです。 何か違うものを書いてしまいそうになりました。
けとばしマンは今回で終わりですので、明日からは何か別のものを。 「愛の謀略」リクエスト受付中♪(→現在は募集しておりません) って、すごいエロリクエスト来たらどうしましょう♪
from past log<2008.11.15>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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