※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
 「すげえ、桜」 デュッセルドルフのランゲン美術館は、日本の建築家の作品だ。元々は、NATOのミサイル基地だった土地だが、現在ではそれを覆うように、様々な芸術品が飾られ、敷地には桜が植えられている。さっき日本の作品を堪能して懐かしんだ後だけに、幾分か嬉しくなった。 青い空の下、腕を広げるように、桜の枝がふんわりと道に伸びる。こうしてドイツで桜並木を見ることになるとは、二人とも思ってもみないことだった。 「うん。・・・きれい」 岬も感極まった様子でうっとりと見上げる。 「ちょっとそこで休憩しないか?」 願ってもない俺の提案に、岬はすぐに飛びついた。
「そう言えば、岬と桜見るのって初めてだよな」 岬が南葛に来た頃には、もう桜の時期は終わっていた。今も日本では桜の時期は過ぎている。平均気温の低いドイツだから、日本よりも1ヶ月も遅い桜だ。 「確かにそうだね」 満開の桜を映したように、見上げる岬の笑みも優しい。 「桜って良いよな。日本に帰りたくなる」 「何か、分かる。桜って見ているだけで、何か心が揺さぶられる感じがする」 「そうだな」 桜を鑑賞しているのは日本人も多いが、ドイツ人も少なくはない。 ほのかな優しい色で、喜びを表すように、花開く桜。 「見ていると落ち着くよね。人が集まるのも分かる」 珍しく雄弁に語る岬に、桜を眺めていた俺も、つられて笑う。 「お前みたい」 「え?」 優しく咲いて、そこにあるだけで、周りを笑顔にしてしまう。滅多に好きなものを増やさない俺の主義さえ、あっさり覆されてしまった。 「お前の周りは、みんな笑顔だからな」 桜を愛で、みんな笑顔で桜の道を通って来る。幸せそうに。楽しそうに。 「もう、褒めたって何も出ないよ」 困ったように、横を向く岬は、何だか可愛い。その横顔だけで、また笑みを誘われる。 「お前がいるから、何もいらない」 手を伸ばして、岬の肩を抱く。 「・・・君って困った人」 桜を眺める横に岬。我ながら贅沢な春の謳歌。 「でも、嬉しい」 照れたように、頬を桜色に染めて微笑む岬に、また幸せな気持ちになった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 桜の季節が終わりかけたので、慌てて。でもこれ5月でも良かったような。(ノД`)アチャー ここのところ、ずっと若林くん一人称なので、と違う書き方をしたのに、結局こう。 何だか、滑りまくりです。
念のため。写真は職場近くの桜です。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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