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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
GeilFaust(6)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
今日で終わり。

「は?意味が分からん」
せっかく良い雰囲気だったのに。優しい顔をして、岬は腕の中に収まっている。
「残念だったな、シュナイダー」
笑い声とともに現れたのは、白い羽の天使だった。長い髪をなびかせて、こちらも派手派手しい。
「ワカバヤシ、よく耐えたな」
天使は賞賛のせりふを、にこりともせず言ってから、岬を見た。
「ミサキ、良かったな」
「ピエール、ありがとう」
ピエール、という名前には聞き覚えがあった。シュナイダーが岬を奪い取った相手、ではなかったか。
「どういたしまして。幸せになれよ」
ピエールは、俺の時とは雲泥の差がある、極上の笑顔を岬に向けている。その間、俺の方は苦虫を噛みつぶしたようなシュナイダーに、にらみつけられていた。
「俺とお前は、パラレル世界では親友だった。こっちのお前と違って、えらく幸せそうだがな」
「俺と岬もパラレル世界では親友だ。それが、こっちでは手を貸してやれずに、岬が死にかけたこともあって、向こうでは恋人のお前に託すことにした」
シュナイダーの言葉を受けて、ピエールが話し始める。岬はもう了知していることなのか、静かに耳を傾けている。
 一目見た瞬間に感じた、言い知れぬ懐かしさ、それは別世界での繋がりなのだと言われて、理解はともかく、納得はできる気がした。不思議な絆、の存在でもなければ、あんなに急速に惹かれるなんて。
「じゃあ、するなと言ったのは」
「あれも本当だ。昨日、手を出されていたら、アウトだった」
ピエールは壁に掛かった時計を指した。0時を過ぎて、日付が変わっている。
「岬は、知っていたのか?」
どうしても、それが聞きたかった。岬は、ほんの少しだけ首を動かして、答えが是であることを示した。
「じゃあ、何で言わなかった?」
お前は消えてしまうかも知れなかったのに。俺が、消してしまったかも知れないのに。
「何度も岬に尋ねたさ。言わなくて良いのかって」
ピエールは彫りの深い眉目を曇らせる。その視線の先で、岬は深く頷いてみせた。
「うん、そうだったね。でも、僕は若林くんを信じていたんだ。ちゃんと僕を大事にしてくれるって」
さも当然のように微笑む岬を、強く抱きしめた。悪魔も天使もこの部屋にいるが、岬の笑顔は何よりも清らかに見えた。それが、何者の作意であったとしても、俺の好きなのはこの岬だ。
「ごめんな、岬。もう少しで、お前を」
「ううん、僕こそ試すみたいなことして、ごめんなさい」
岬を失わなくて、良かった。一時の衝動に負けない位、ちゃんと愛せていて良かった。
「まあ、そういうことだ。大事にしろよ」
話の流れからして、俺が手を出す方に賭けたらしいシュナイダーは、にやにや笑いながら姿を消した。
「岬を泣かせたら許さないからな」
続いて天使も姿を消し、部屋にはたった二人、岬と俺だけが残された。

「岬、もう身体は何ともないのか?」
「うん・・・もう大丈夫」
裸の胸を通して、お互いの鼓動が響く。ちゃんと脈を打っている。暖かい。
「ピエールは好きにしたら良いって言ったんだ。でも、シュナイダーは君のところに行けって。助けてやれって、言ったんだよ」
助ける。俺が岬を、ではなく、岬が俺を。
 確かに、1ヶ月前には考えられないような気持ちだった。誰かを好きで、一緒にいるだけで、心が満ち足りる。それは何より、俺に欠けていた部分に違いなかった。

「これからも、一緒にいてくれ」
「うん」
そして、本当に幸せな夜が始まった。

(おわり)


拍手ありがとうございます。
(ここから長いので、面倒な方はとばして下さい)
 今回無事ブログ再開に至るまで、色々葛藤がありました。
 更新すると、その番号の記事が上書きされてしまう。でも、辞めるつもりだったこと、その後の避難所のお知らせ、とどうしても挨拶したかったのです。

 触れてはいけないのに、触れたくて仕方ない。

 これって、源岬、と思った途端、頭のヒューズが飛びました。1話書いて、避難所で発表した頃に、こちらが復旧しました。
 実は、最初に考えていたのは、岬くんが消えてしまう結末でした。
 今まで、散々源岬を書いておりますが、岬くんが物理的にひどい目に遭う話、というのはほとんどありません。(若林くんに襲われる、のは当然ノーカウントでしょ)
 初めてが若林くんじゃない話も、パラレルで1本だけ。
 そんな私ですが、この話を書き始めた時の構想は、アンハッピーエンドだったのです。おそらく、精神状態が悪かったのでしょう。ですが、状況が改善する中で、気持ちも落ち着いたのか、ぎりぎりセーフ→今回のエンドにいつの間にか変わっていました。計画とここまで違うのは初めてで、何だか勝手に動き回られた感があります。
 でも、今思えばハッピーエンドで良かった。
 再開して最初の話、ダラダラ長くなってしまいましたが、これからもハッピーエンド主義でいきたいと思います。これからもよろしくお願い致します。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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