※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 続きです。今日で終わり。 3
岬と俺は友達、というには頼りのない絆だった。同じ学校でもない。じっくり話したこともない。単なる元チームメイトで、翼からの手紙のレギュラーで。
それなのに、何故か気にかかった。忘れられなかった。
ふと気付くと、岬を眺めてしまっていた。慌てて水筒を置く。 「こっち来てから初めて会うのが岬だとは思わなかったぜ」 岬の消息は誰も知らなかった。翼は全国大会の度に聞いてまわっていると本人からも修哲の奴らからも聞いた。 岬がフランスに渡ったのが3年前なら、岬が再会したのも俺が最初だろう。 すごく不思議な気がした。
胸に、また熱いものがこみあげる。岬がこっちにいるのは、俺しか知らない。
岬は、俺の言葉に深く頷いた。それから、小さな笑い声を立てて。 「ねえ、若林くん」 相変わらず耳に心地好い声で名前を呼ばれるのは、思ったより効いた。思わず振り返った俺に、岬は微笑んでいた。 「僕が南葛で最初に話したの、若林くんなんだよ」
心臓が音を立てて震えた。
俺は運命なんて信じない。自分で道は切り開くものだと思っている。 だが、何かに引き寄せられるように、岬と俺は出会い、俺は今どうしようもなく惹かれている。
「岬」 「何?」 やっぱり可愛い。顔を見ても、声を聞いても、側にいるだけでも、落ち着いていられない。 お前と俺は出会う運命だった、なんて運命論者でもない俺が言っても仕方ないんだが・・・。
「付き合おうか」
岬が息を飲んだのが分かった。驚いて、俺を見上げる岬の肩に手をかける。
「何言って・・」
岬が驚くのも無理はない。俺だって、岬に再会しなければ、いつかは忘れることが出来ただろう。 でも、岬は来た。 そして、俺はまた好きになった。 あの時、おそらく岬の笑顔を見た瞬間から、岬しか見られなくなった。 辛い時も、健気に笑ってみせる強さと、時々垣間見える寂しげな表情と、全部好きだった。
立ち上がろうとする肩を押さえ付けた。小さな手に、手を重ねて、ゆっくりと囁く。 「岬も俺のこと好きだろ?」 岬は、旧友を懐かしむタイプではない。忘れられて、失望することを恐れる。 だが、そんな危険を冒して来たのは、あの一瞬が心に焼き付いたからだ。俺と同じように。
「な、何言って・・・」 動揺して赤くなった岬に、自分の推理が当たっていたことを知る。
やっぱり、お前の運命の相手は俺なんだ。だから、おとなしく観念しろよ。
逃げない肩をたぐり寄せて、今度こそしっかりと抱きしめた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。
同人誌を整理していて、源岬でない本なのですが、岬くんと最初に言葉をかわしたのは若林くんだというのを読みました。
改めて言われると、確かにそうだ!! (意識していませんでした。どこのボーイミーツガールな少女マンガだ、とは思いましたが) 本当に運命の二人なんですよね。(しみじみ)
拍手お礼: さくら様、いつもありがとうございます。 幸い母は気づかなかったようです!にしても、恥ずかしいですけれど。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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