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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
ジョンの友達(下)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
昨日の続きです。



「俺は源三。お前は?」
「名前は言わない。・・・きっと、笑うから。でも、よろしくね」
差し出された手を握る。添えられた笑顔は、ものすごく可愛い。
「何だよ、それ」
ちょっとだけムッとして、手を引っ張って捕まえた俺に、ジョンが吠えて来る。
「冗談だって。お前の友達はいじめないから」
心配そうなジョンの頭を撫でると、ジョンは落ち着いて、俺の手を舐めた。その子も寄って来て、おとなしくなったジョンを撫でる。
「いいコだね」
「だろ?」
ジョンは自慢の友達なんだ。胸を張る俺に、その子はくすくす笑った。
「君も」

 その瞬間、何故か涙が出そうになった。

 本当に、可愛い小さな子なんだ。どんな大きい奴にも泣かされたことなんかないのに。

「源三くん、遊ぼう?」
差し出された手を掴む。友達、ってこんなものなのかな、とぼんやり思った。
 一緒に走って、ボール蹴って。ジョンは俺が友達と遊ぶ間、嬉しそうに駆け回って、黒い目で見ていた。

「タロー」
空が赤くなって、ボールがぼやけてきた頃、遠くで男の人の声がした。
「僕、もう帰らなきゃ」
友達が顔を上げる。そうか、こいつタローってのか。確かに、古臭いし、犬の名前みたいだが、笑う程でもない。女の子みたいな顔には似合わないけれど。
「明日も来いよ」
タロー、の後を追った。小さい癖に、タローはやたらと足が速い。
「ごめん、明日はこの町にいないんだ。今日は楽しかった。ありがとう」
タローの言葉は、半分耳から抜け落ちた。

 何でだよ!
 
 追いすがろうとする俺を振り切って、タローの姿が小さくなる。
「じゃあね、ありがとう、源三くん!」
タローの小さな体は、庭の木立に紛れて、たちまち見えなくなった。 

 それからは、どれだけ言われても、庭の抜け穴だけは修理させなかった。いつか、タローがひょっこり顔を出すかも知れないからだ。


「へえ、タローの抜け穴ってあるの?」
「そうそう、若林がそう言ったんだぜ。岬が転校して来るずっと前だけど」
「ふーん」
あの声は石崎と岬らしい・・・。人の家の前で、何を話してるんだ。相変わらずの不法侵入者石崎を睨みつける。
「ご招待ありがとう、若林くん」
一方の岬は、木立からひょっこり顔を出すと、すごく涼やかに微笑んだ。その笑顔に、見覚えがある気がして、俺は赤くなる顔を押さえた。

(おわり)

拍手ありがとうございます。

IFを考えるのが好きです。全くのパラレルも好きですが、少しだけ違う世界、というのが面白くて。今の拍手お礼文もそうですし、以前にも幾つか書きました。今日のは、「もし二人が以前に出会っていたとしたら」。想像だけは膨らむんですけど、文章にするとなかなか難しいですね。

以下、拍手お礼:

ゆかり様、いつもありがとうございます。
昔は本当に良かったですよね。当時の本を読み返すと感動で泣きそうになったりします。もし、タイムマシーンがあったら、小銭いっぱい持って、当時のコミケに行きたいものです。

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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