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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
ジョンの友達(上)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 おれの家は広い。
 だが、誰もいない。

 いつものように、学校から帰り、今日は家庭教師の日じゃないから、晩飯の時間まで外で時間をつぶす。外と言っても、屋敷の敷地内だ。
 庭をジョンと走り回る。ジョンは、学校帰りに拾った犬だ。よく家の周りをチョロチョロしてるサル野郎の石崎は、不細工だから捨てられたのだと言うが、あいつの方こそ、そのうち捨てられるんじゃないか。

 俺の周りはこんなもんだ。学校の連中は、やたらと気をつかってくるので、家に呼ぼうとは思わない。あんなに気をつかわれたら、誰だって居心地が悪くなる。
 そんな俺に話しかけるように、足元にジョンがまとわり付く。
「お前が人間だったら、良かったのにな」
ジョンが友達になってくれたら。話は出来なくても、ジョンは俺のことを分かってくれる。嬉しい時、寂しい時。ジョンは俺の言葉に、同意するように吠えた。ジョンが動く度に、首に巻いてやったハンカチが揺れる。
「ジョン、ボール取って来い!」
考え事をしていたせいか、投げたボールは思ったより飛んだ。ジョンは木の方に走って行った。

 ジョンはなかなか戻って来なかった。そう言えば、塀に穴が空いていたはずだ。サル野郎がいたずらに来ていたのを思い出し、心配になってそっちに向かった。
 
 ガサガサ

 音がした。

 顔を出したのは、俺のボールを持った見慣れない子供だった。細い手足に、背も小さい。
 そして、手には見慣れたハンカチ。
「ジョン・・か?」
つい口にしていた。ハンカチとボールを持っているだけではない。俺を見つめる目は優しくて、何だか懐かしい気持ちになってくる。
「な、何のこと?」
同い年ぐらいなのか?その子は俺の言葉に首を傾げた。
 すごく可愛い。見たことがない位に可愛いだけじゃなく、優しい目だ。

 一瞬、ジョンが人間に、俺の友達になりに来てくれたのかと思った。バカバカしいことだが。

 そう思った瞬間、ジョンが飛び出した。俺のボールではなく、大きなボールをくわえている。

「このコ、君の?」
先客が尋ねる。高いのに、耳障りしない声が心地好い。
「ああ」
その子はニコニコ笑うと、ジョンに近寄った。
「これ、君の落とし物」
ハンカチを巻かれたジョンは嬉しそうに吠え、ボールを落とした。

 可愛いなあ。

 俺らしくないことだが、そう思った。いつもなら、不法侵入者はすぐに追い出す俺だが、そんな気にはなれなかった。

「そいつ、ジョンって言うんだ」
「ジョン?よろしくね」
ジョンが、見知らぬ相手と仲良くしているのは、珍しい。

 ・・・ジョンの友達なら、俺の友達だよな?


(つづく)


拍手ありがとうございます。

昔の同人誌で、すごく好きな作家さんがおられて、子供の頃の若林くん話がとても好きでした。
そういうリリカルを目指していたのに、何か違うな。

以下、拍手お礼:
ほっこりしている、とコメント下さった方、ありがとうございます。
エピソードとして触れるのとSSにするのとでは、なかなか思った通りにはならないみたいです。
でも、「偵察」気に入って頂けて嬉しいです。

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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