※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 今日はギャグです。 ラブラブではありません。 きっかけは、ささいなことだった。 南葛SCの合宿で、たまたまバスの席が隣になった。僕は若林くんとはそう親しくはない。 話すこともあまりない。 僕は、そう人に話しかける方ではない。若林くんも恐らくそうだ。普通の小学6年生なら、こういう遠出なら、オヤツの話やら着いてからの過ごし方とか、ありそうなものだけど。 と言っても、僕だってそんな話をしようとは思わない。こんなに長く一緒にいて、話さなかったのは、よく考えたら若島津以来かも知れない。 「岬」 若林くんも手持ち無沙汰だったのか、ふと気づいたように、こちらを向いた。 「何?」 別に、話しかけられて、話す分にはやぶさかではない。黙ってはいたけど、笑顔ではいたぐらいだ。 若林くんと話こそしなかったけど、前の席の井沢くんと来生くんの会話や、(井沢くんの妹を嫁にやるとかやらないとか)後ろの席の岸田くんと浦辺くんの会話(どっちが女の子にもてるか。浦辺くんには最近、瞬ちゃんというファンがいるそうだ)を聞いているのは、とても楽しかったし。 「シリトリしようか?」 まさか若林くんから、そんな提案が出るとは思わなかった。シリトリって、そう会話が弾む、とかじゃない。 でも、若林くんからの提案は興味深かった。 小学生の癖に達観して(僕もだけど)サッカー以外では一歩退いたところのある若林くんと、あまり親しくなれそうにはないと思っていた。何だか、お互いの姿を見るようで。同族嫌悪、というやつかも知れない。 「良いよ、若林くんからどうぞ」 「じゃあ、シリトリ」 「理科」 「カット」 「トップ」 「プレイ」 「位置」 「チーム」 「昔」 「視野」 始めてみると、若林くんは意外に好敵手だった。同じような言葉を重ねて、無理のないところをつく、余裕たっぷりのプレイに、段々面白くなった。 「ミッドフィルダー」 「アタック」 「クイック」 シリトリは、延々続いた。恐らく20分、その頃には周囲が注目を始めていた。 「クオータ?」 「アイス」 その時だった。若林くんがとんでもないことを言ったのは。 「好きだ。一緒にいよう」 ご丁寧に、膝の上の僕の手を掴んでのことだ。 注目していた車内が一瞬にしてざわめく。僕が横を向くと、若林くんはとても機嫌が良さそうに笑っていた。・・・たちの悪い冗談もあったものだ。 「うそだよね?」 仕方なく、そう続けた。「ネット」 若林くんも真面目な顔をして、続けてきた。やっぱり冗談だろうな。 「トリック」 何事もないように、シリトリを続けながらも、握られた手は放されない。本当なのか、どうなのか。自分から聞くのはシャクな気がした。 「ライト」 「徒歩」 だから、ズルをした。 「本気?」 何気ないフリで、言葉を混ぜた。 「決まってる」 若林くんは、僕の手に指を絡めて来た。表情一つ変えずに、何するんだよ。 「ルール破り」 不用意に挟んで来た指を、小次郎に習った間接技で返す。ウェイト差があっても大丈夫だと聞いていただけのことはあった。 「参った」
結局、何だったのかは分からないまま、もう一度シリトリをして(今度は普通に)バスを降りた。二度目のシリトリも長く続いたし、楽しかった。 降り際に、若林くんはこちらを振り返った。 「今度こそ」 「何?」 「口説いてやるからな」 訳の分からないことを言って、若林くんは降りて行った。
そうか、口説かれてたのか・・・、僕。
一回目「うん」と答えなかった自分の慧眼に安堵しながら、僕もバスを降りた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 ハードボイルドな岬くんを書きたくて。若林くんがいぢめられただけでした。
以下、拍手お礼: さくら様、本当にいつもありがとうございます。 何故、この二人が好きなのか、という自分の中の問いの答えでもあったような。ちょうど小次&岬(小次郎×岬にあらず)を書いているので、それと対比して考えたのですが、形になっていませんね。後でメールします。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
アップしたつもりが、あがっていませんでした。失礼しました
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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