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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
鈍感(3)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

「岬」
壁に持ち上げるように押さえつけた。視線の高さがフラットになり、岬が不安げに俺を見る。こうしているだけで、心が波打つ。

 岬といる時に、心の中から湧き上がってくる甘い気持ちがある。岬のことを考えるだけでも、心を満たす甘さは、今では苦さに変わっていた。

「じゃあ、お前をもらうぞ」
出来るだけ気持ちを抑えて言い放った。嫌なら逃げてくれれば良い。
「良いよ」
予想に反して、岬は即座に答えた。俺をまっすぐ見る、優しい笑顔はいつも通りだった。

 本当に分かっているのか?俺はお前に惚れているんだぞ?

 肩を掴んで、きついキスをして、泣かせてやろうと思った。そうしたら、きっとお前は間違いに気づくから。そうしたら、俺も正気に戻るから。

 顔を近づけた。岬は目を閉じたが、その表情は覚悟、というには程遠かった。まるで、もっと甘いものを与えられるかのような表情に、キスをねだられているような気分になって、気がついたら、そっと唇を重ねていた。

 目を伏せ、うっすらと頬を染めた岬ときたら、今まで夢に見てきたことよりも、甘そうに見えた。

 唇を重ねても、岬は抵抗しなかった。つい貪りそうになるのを自制して、岬を驚かせないように啄ばむ。恐る恐る、応えてくれるのがたまらなく可愛くなり、俺は慌てて岬を引き離した。

「どうしたの、若林くん」
壁にもたれていた岬は、慌てて身を起こし、それから時計を見た。もうすぐ試合が終わる。
「お前の言うこと聞くから、約束は家に帰るまで保留な」
俺が抜けた時点で、うちがリードしていた。今日の出来からしたら、この得点差をひっくり返すのは難しいだろう。それよりは、ベンチに戻る前に、岬を確保しておきたい。
「約束できる?」
また逃げられるのは御免だった。試合さえなければ、今すぐにでも俺のものにしてやるのに。
「お前は?」
まだ、唇が熱い。痛い程鳴る胸が苦しい。俺が見つめる中、岬はゆっくりと視線を上げた。
「・・・良いよ。勝ったらね」
「岬!」
いつのまにか増えていた条件に、声を上げる。だが、にわかに聞こえてきた外の歓声からすると、今日勝ったのは間違いない。
「約束したぜ」
もう一回キスをしたら、監督に挨拶をして来よう。

 ケガの痛みなど途中で忘れていたことは、岬には絶対言えない。

(おわり)


拍手ありがとうございます。

まずは拍手お礼:
甘槻様、コメントありがとうございます。
私も、「鈍感」の続きは、気になっていました。ただ、途中までPCで書いたこともあって、このブログに下書きしておりました。公開していた分はキャッシュがありますが、下書き保存の分はそれもなし。ブログが復旧するまで、どうすることもできませんでした。今、続きを発表できて、ホッとしました。


拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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