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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
鈍感(2)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
放置になっていた連載のつづきです。 (1)はこちら

 俺が唇を寄せると、岬は目を閉じた。整った白い顔に、まつげの長さが引き立つ。いつまでも見飽きない顔を間近に見て、本当にきれいだと改めて実感する。

 こんな岬が、俺に惚れてるなんてな。

 考えただけで、背筋がゾクッとした。

 岬には、俺など必要がないのだと思っていた。何度も好きだと言っても、岬は冗談扱いして取り合わない。
 それでも、サッカーとなれば、人のことをいえないサッカー馬鹿の岬はすぐに飛んできた。それが嬉しくて、呼んだ試合で、怪我をした。
 無様に倒れた俺に、岬はすぐに駆け付けてくれた。
 これぐらい何ともない、と自分では分かっている。だが、監督は休めと言った。その横で岬が心配そうな顔で立っていた。


「休んでなきゃダメだよ」
医務室を出ようとした俺を、岬が追ってくる。自然に足は速まるが、岬はすすっと先回りしてみせた。さすがに、うまい。

「休まなきゃ。・・・君は嫌かも知れないけど」
岬が心配してくれるのは嬉しい。だが、行かないと。通せんぼした岬は俺を静かに見上げた。息を吸い込んで、透き通った声が言う。

「何でも言うことを聞くから」

 最初は何を言われたのかわからなかった。思わず足を止めて、岬の顔をまじまじと見つめた。どうやら冗談ではないらしい。

 無意識で息を飲み込む。真剣な眼差しで案じてくれる岬は、本当にきれいだったが・・・意味が分かって言っているのか?
「本気か?」
岬の頤を掴んで上を向かせた。岬が少し震えているのが伝わる。そして、岬の必死さも。

「うん、本気だよ」
岬の、強く握られた手が白くなっていた。頑として譲らない視線とは裏腹に、岬の手はシャツの胸元を握ったままだ。

「岬」
あれだけ散々振られた。それなのに、愛しくてたまらなかった。この三分間で、俺は岬の想いを実感した。

 嬉しい。嬉しくてたまらない。

 だが、今までずっと待たされた。すぐに据え膳に飛びつくのは、プライドが許さなかった。
 それに、俺が岬の想いだと思っているのは、単なる勘違いかも知れない。岬は自分のこととなると鈍感なくせに、人の痛みにはやたらと敏感だ。俺が好きで、自分を差し出そうと言うのなら、本当に嬉しいのだが。

 同情ではあって欲しくない。憐憫で自分を犠牲にされる位なら、憎まれる方が良い。

(つづく)

拍手ありがとうございます。
ブログトラブル前の連載の続きです。
今朝もメンテナンスがあったので、必死でバックアップ取り…、気づいたらPCの前で眠り込んでいました。

以下、拍手お礼:
まひまひ様、またコメントありがとうございます!
遠距離の切なさも、近距離の楽しさももっと描けると良いのですが。コメントの素敵な言い回しに、こちらこそうっとりしてしまいました。


拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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